今回の5万円台スト5PCに導入した、SSDの素のパフォーマンスをCrystalDiskMark7で計測したところ、以下のようになった。
読み出しは毎秒約3.5GB、書き込みは毎秒1.3GBと計測され、公称スペックの読み出し毎秒3.1GB、書き込み毎秒1.1GBを超えるパフォーマンスで、なかなか立派である。
このSSDと容量2TBのHDD(Seagate WD20EARX)と組み合わせた、FuzeDriveによるハイブリッド環境での計測結果は以下のようになった。
なお、2GBのRAMキャッシュオフ時とオン時の両方の結果を示す。
RAMキャッシュオフ時の結果は、おおむねSSDの素のパフォーマンスに近い結果となっているのが見て取れる。なお、この測定はWindows 10セットアップ直後の環境に対してなので、HDDへのアクセス頻度は無に等しいはず。なので、こうした結果になるのも納得である。細かく見ていくと、読み出しパフォーマンスがわずかにSSDの素のパフォーマンスより低いことに気がつく。これはFuzeDriveのソフトウェア制御が介入するためだろうか。
RAMキャッシュオン時の結果は、読み出し時のパフォーマンスがSSDの素のパフォーマンスに対して2倍〜2.5倍へと跳ね上がっているのが分かる。RAMキャッシュの効果は絶大だ。前述したバイオハザードRE:3の「死んでからのゲーム再スタート」が一瞬で行われることも納得である。
申し分のないパフォーマンスのFuzeDrive環境だが、読者の多くは「このFuzeDrive環境、もしSSDやHDDを換装したくなったらどうすればいいの?」という疑問を抱くことだろう
一応、Enmotusの公式サイトには、FuzeDrive(StoreMI)をアンインストールする手順が公開されており、この手順を踏めば、SSD+HDDのハイブリッド環境が、それぞれの独立したドライブ構成に戻り、これまで使っていたWindows 10環境も元通りになると説明されている。
ただ今回、筆者が試した感じでは、元に戻らなかった(笑)。このハイブリッドストレージ環境を使い込む前に、セットアップ直後にアンインストールを試したのだが、アンインストール自体は成功するも、その直後の再起動でWindows 10がブートしなくなってしまったのだ(笑)。
ということは、FuzeDrive(StoreMI)環境を一度構築したら最後、そのままそのシステムが壊れるまで使い続けるしかないのだろうか。
筆者手持ちのユーティリティーなどで、いろいろ試してみた結果、1つ手立てがあることが判明した。
それは、アーク情報システムの「HD革命/BackUp Next」を使う方法だ。
実際に、筆者がFuzeDrive(StoreMI)環境となったWindows 10ブート環境をそのままHD革命/BackUp Nextを用いて別HDDにバックアップを取ってみたところ、ログに「警告あり」はあったものの、うまくバックアップが取得できた。
そのバックアップファイルを用いて、SSDやHDDに復元したところ、普通にその環境を、再起動させることができた。
HD革命/BackUp Nextによって復元されたFuzeDrive(StoreMI)ベースのWindows 10システムは、FuzeDrive(StoreMI)がインストールされた状態で復元されてはいるものの、ハイブリッドストレージシステムで動作しているわけではない点には留意したい。
この復元されたFuzeDrive(StoreMI)インストール済みのWindows 10環境から、もう一度、FuzeDrive(StoreMI)ベースのハイブリッドストレージを構築したい場合は、復元したシステムからFuzeDrive(StoreMI)を一旦アンインストールし、再度、FuzeDrive(StoreMI)をインストールし直す必要がある。
やや面倒になるが、この手順を覚えておけば、FuzeDrive(StoreMI)ベースで構築したハイブリッドストレージ環境のSSDやHDDのそれぞれを、のちに個別にアップグレードしていくことも可能になる。
だいぶ長くなったが、このFuzeDrive(StoreMI)はなかなか便利なので、興味のある人は使ってみるといい。
次回は、この5万円台スト5PCの「ストリートファイターVがちゃんとプレイできるのか」という本題を検証するとともに、「PCとしてのパフォーマンス」などについても見ていく。
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