3D描画性能を計測する「3DMark」では、DirectX 12 APIを採用した「Time Spy」系テスト、DirectX 11 APIを使用した「Fire Strike」系テストをそれぞれ実行した。
まずはTime Spy系テストの結果から見てみよう。Time Spy系のテストは高負荷なことでも知られるが、GPU側の負荷が重い3D描画系テストでは、相対的にCPUの影響が小さくなる傾向がある。そのこともあり、Ryzen 3 3100とRyzen 3 3300Xの差は少なかった。
実際の使用ケースではあまりないかもしれないが、ハイエンドGPUと組み合わせて最新のビッグタイトルをプレイするような状況なら、2つのCPUの差はそれほど問題にならない。
一方のFire Strike系テストでは、フルHD(1920×1080ピクセル)で実行される「Fire Strike」と、それ以上の描画解像度で実行される「Fire Strike Extreme」「Fire Strike Ultra」でスコアの傾向が異なる。
Fire Strikeでは、CPUによって総合スコアに5%ほどの差が出た。しかし、Fire Strike Extreme/Ultraの総合スコアの差はほとんど誤差レベルとなった。低負荷な状況では、Ryzen 3 3300Xがフレームレートにおいて有利に立ちやすいことは間違いない。
負荷が軽い3Dゲームについて、もう少し検証する。実ゲームを元にしたベンチマークソフト「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」で、画質「最高品質」、フルスクリーンの設定を適用し、フルHD、WQHD(2560×1440ピクセル)、4K(3840×2160ピクセル)の3パターンでスコアを計測してみよう。
フルHDの計測では、CPUの違いで12%前後の差が付いた。これは先ほどの3DMarkよりも大きな差だ。このタイトルではWQHD描画でもそれほど負荷がかからないため、CPU間でのスコア差が8%程度と大きめとなった。
一方、負荷の大きい4K描画のスコアに限っては、Ryzen 3 3300Xの方がスコアが良いものの、Ryzen 3 3100と有意な差があるかというとそうでもない。
価格を抑えたRyzen 3は、フルHDでのゲームプレイをターゲットにしたPCに採用される機会も多い。GPUの選択にもよるが、グラフィックスの負荷が軽いゲームならRyzen 3 3300Xの方が動作の面で優位性があることは覚えておきたい。
最後に、ワットチェッカーを使ってシステム全体の消費電力をチェックする。
起動後10分間何もせずに安定させた場合の電力値を「アイドル時」とした上で、「CINEBENCH R20実行時」「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク実行時」の消費電力の最高値を計測した。
アイドル時の電力はRyzen 3 3100の方がやや高く出ているが、第3世代Ryzenプロセッサを搭載したPCとしては可もなく不可もない値だ。そして、高負荷時の電力はわずかにRyzen 3 3300X搭載時の方が高いものの、いずれも同程度に留まる。
冒頭でも述べた通り、Ryzen 3 3100とRyzen 3 3300Xの税別想定販売価格は1万円台前半となる。コストパフォーマンスの高さに定評のあるRyzenプロセッサだが、5月16日の国内発売が決定した「Ryzen 5 1600 AF」(税別想定販売価格9980円)も含めると低価格CPUの選択肢がさらに増えることになる。4コア8スレッドCPUがメインストリームの最上位に君臨していた数年前のことを思えば、なんともぜいたくな状況ともいえる。
Ryzen 3 3100の評価は、実売価格次第な面があるものの、Ryzen 3 3300Xに関しては、4コア8スレッドのCPUとしてトップクラスのパフォーマンスを発揮できることに注目したい。
シングルスレッド性能の高さがメリットになりやすいPCゲームなどでは明確な強みがあるため、特に人気を集めそうだ。
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