ついに発売! 16コア32スレッド「Ryzen 9 3950X」の使い所を考える第3世代Ryzenの最上位モデル(1/4 ページ)

» 2019年11月29日 12時00分 公開
[石川ひさよしITmedia]

 ソケットAM4の第3世代Ryzenでは、「チップレット」が取り入れられている。チップレットは、「CCD」と「cIOD」で構成され、CCDはCPUコア、cIODはこれを接続するI/Oダイだ。この仕組みとCPUコアをいくつ有効/無効(歩留まりとも関連する)とするかによって、エントリーからハイエンドまでスケーラブルに製品ラインアップを展開できる。

Ryzen 9 3950X Ryzen 9 3950Xのパッケージ
Ryzen 9 3950X CCDとcIODで構成される

第3世代Ryzenの最上位モデルが発売

 8コアを超える上位モデルの場合、CCDは2つ内蔵される。これまで最上位だったRyzen 9 3900XもCCDは2つだ。ただし1つのCCDあたり、有効化されていたのは6/8なので12コア24スレッドにとどまっていた。Ryzen 9 3950Xは8/8、つまりCCDの8コアすべてが有効化された、ソケットAM4版第3世代Ryzenの完全形と言える。

第3世代Ryzenの主なスペック
モデル名 3950X 3900X
コア 16 12
スレッド 32 24
ベースクロック 3.5GHz 3.8GHz
最大ブーストクロック 4.7GHz 4.6GHz
L1キャッシュ 1MB 768KB
L2キャッシュ 8MB 6MB
L3キャッシュ 64MB
TDP 105W
付属CPUクーラー Wraith Prism with RGB LED

 仕様表の通り、Ryzen 9 3900Xとの違いはコア/スレッド数と、それに伴うL1〜L2までのキャッシュ容量、そして動作クロックだ。L1〜L2に関してはコアに数に依存するものなので分かりやすい。動作クロックはベースクロック側がRyzen 9 3950Xの方が低く、ブーストクロック側は高い。矛盾しているようにも見えるが、より多くのコアが活性化するベース側はコア数の多いRyzen 9 3950Xの方がTDPの関係から抑えられ、Ryzen 9 3950Xが選別コアの可能性を考慮すると、シングルスレッドのターボ時クロックは高めに設定できるとすれば筋が通る。

 1つ、Ryzen 9 3950XにはCPUクーラーが付属しない。ユーザーは自前でCPUクーラーを用意することになるが、このクラスのCPUを求める人であれば、それなりにCPUクーラーへのこだわりもあるだろう。そして、発売前からAMDが公言しているように、クーラーの冷却性能はそれなりに気を使うことになるだろう。AMDはRyzen 9 3950Xに組み合わせるCPUクーラーに、「280mm以上の簡易水冷クーラー」を推奨している。

Ryzen 9 3950X パッケージもクーラーが付属しない専用のもので、通常の第3世代Ryzenのものよりひと回り小さい。パッケージを開くと分かるが、CPUは上部のわずかな窪み部分に格納されている

 Ryzen 9 3950Xは、Ryzen 9 3900Xと同じ105WのTDP枠だ。それもおそらくRyzen 9 3950Xは選別されたコアだろう。それでも2コア4スレッド分の増加は、選別コアでカバーできる限度を超えているようだ。105WのTDP枠の中で上限により近い、マージンが少ないものであろうことが想像される。

Ryzen 9 3950X Ryzen 9 3950Xの刻印。これにより16コア32スレッドがソケットAM4で利用可能になる

 簡易水冷ラジエーターを搭載できないミニケースや、スモールフォームファクターで使いたい、空冷CPUクーラーを組み合わせたいといったニーズに対して、AMDは「Eco-Mode」を用意することで対応しようとしている。

 Ryzen Masterから利用可能なEco-Modeは、TDP上限を105Wから65Wへと引き下げる。上限が65W、40W分引き下げられれば当然クロックが抑えられる。Ryzen 9 3950Xのパフォーマンスを100%引き出すことはできなくなるが、ノーマルのRyzen 9 3950Xとはまた異なるワット/パワーのCPUとして活用できることになる。

Ryzen 9 3950X CPU-Zから見たRyzen 9 3950X

 それでは、ベンチマークテストでパフォーマンスを見ていこう。

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