ついに発売! 16コア32スレッド「Ryzen 9 3950X」の使い所を考える第3世代Ryzenの最上位モデル(2/4 ページ)

» 2019年11月29日 12時00分 公開
[石川ひさよしITmedia]

マルチスレッドアプリケーションでのアドバンテージは大きいが……

 Ryzen 9 3950Xの性能をどう測るのかは、悩むところだ。価格やコア数など指標となるものは多い。しかし、ここではメインストリーム向けプラットフォームという点を重視して、Core i9-9900Kと比較した。

検証環境
CPU AMD Ryzen 9 3950X Intel Core i9-9900K AMD Ryzen 9 3950X Intel Core i9-9900K
マザーボード MSI MEG X570 GODLIKE(AMD X570) GIGABYTE Z390 AORUS ELITE(Intel Z390) MSI MEG X570 GODLIKE(AMD X570) GIGABYTE Z390 AORUS ELITE(Intel Z390)
メモリ Corsair CMR64GX4M4K3600C18 RGB(DDR4-3600:DDR4-3200で使用、8GB×2) Kingston HyperX Predator DDR4 RGB HX429C15PB3AK4/32(DDR4-2933:DDR4-2666で使用、8GB×2) Corsair CMR64GX4M4K3600C18 RGB(DDR4-3600:DDR4-3200で仕様、8GB×2) Kingston HyperX Predator DDR4 RGB HX429C15PB3AK4/32(DDR4-2933:DDR4-2666で使用、8GB×2)
グラフィックスカード ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP(RTX 2080 Ti)
SSD Intel Optana SSD 800p SSDPEK1W120GA01(Optane NVMe 118GB)+WesternDigital WD Black NVMe SSD WDS100T2X0C SSD1TB(3D TLC NVMe 1TB)
電源 Corsair HX1000i(1000W、80PLUS Platinum)
OS Windows 10 Pro 64bit

 今回は2つの検証環境で統一できなかったパーツも多く、消費電力比較に関しては注意して見ていただきたい。異なるのはマザーボードとメモリ、CPUクーラーの3点だ。

 Ryzen 9 3950Xの検証機に付属したマザーボードは、MSIのAMD X570マザーボードの中でもハイエンドのMEG X570 GODLIKE、CPUクーラーはNZXT Kraken X62だった。その到着以前に計測しているCore i9-9900K環境は、マザーボードがGIGABYTE Z390 AORUS ELITE、CPUクーラーがCorsair H100i RGB Platinumだ。

 メモリはRyzen 9 3950X側がCorsair VENGEANCE RGB CMR64GX4M4K3600C18をDDR4-3200に落として、Core i9-9900K側がHyperX Predator DDR4 RGB HX429C15PB3AK4/32の16GB分(2枚)をXMPプロファイルからDDR4-2666に落として、各プラットフォームの仕様に合わせている。

Ryzen 9 3950X CINEBENCH R20のスコア
Ryzen 9 3950X V-Ray NEXT Benchmarkのスコア

 まずはCPU性能の比較として、CINEBENCH R20とV-Ray NEXT Benchmarkを見てみよう。ともに3dレンダリングベンチマークであることから、CINEBENCH R20のCPUとV-Ray NEXT BenchmarkのV-Rayは似たような結果だ。

 やはりコア数が2倍あるRyzen 9 3950Xが圧倒する。予想できたことだが、Ryzen 9 3950Xはメインストリームプラットフォームにおいて圧倒的なコア数であることが、大きなアドバンテージだ。それこそ3Dや映像制作といったマルチスレッドアプリケーション中心の用途で、メインストリームプラットフォームを選ぶことでコストを抑えたいといったニーズに適している。

 また、CINEBENCH R20のCPU(SingleCore)を見ると、シングルスレッド性能もほぼCore i9-9900Kと同等と言えるだろう。同時に、V-Ray NEXT BenchmarkのV-Ray GPUは同じ値であることから、GPUを利用する環境としてベース性能にもあまり大きな違いがないということが言える。

Ryzen 9 3950X PCMark 10(Overall)のスコア

 アプリケーション性能をPCMark 10で見ておきたい。まずはOverallだ。

 通常通りExtended Testを実行しているが、Physicsテストでコア数による大きな差が出てしまうGamingはまず外して考えよう。Ryzen 9 3950XがリードしているのはEssentialsとDigital Content Creation(DCC)の2つのシナリオである。DCC側はややリードが大きく、コア数のアドバンテージが出ている印象だ。

 ただし、ProductivityはCore i9-9900K側がリードしており、全勝とはいかない。テスト中では比較的スレッド数が多くないProductivityはRyzen 9 3950Xが不得意と考えられる。

Ryzen 9 3950X PCMark 10(Essentials)のスコア
Ryzen 9 3950X PCMark 10(Productivity)のスコア
Ryzen 9 3950X PCMark 10(Digital Content Creation)のスコア

 各シナリオのテスト結果を見ていこう。Essentialsは、Web BrowsingでRyzen 9 3950Xが僅差で負けているものの、ほぼ同値と見ていいだろう。その上でApp Start-upの負けをVideo Conferencingで取り返しつつ総合でリードしたようだ。確かにVideo Conferencingの方がマルチスレッドが効きやすい。

 一方、App Start-upはストレージも関係するが、スレッド数は少なめとなり、この中間帯のスレッド数における動作クロック、処理性能で差をつけられた可能性が考えられる。他2つのシナリオは先に指摘した通りだ。

 CPU、アプリケーション性能でまとめよう。

 先にアプリケーション性能だが、Ryzen 9 3950Xが高性能であることは間違いない。ただし、一般用途全般でリードするかというとそうでもない。CPUベンチマークの結果の通り、アプリケーションによりけりなところがある。そうしたアプリケーションを利用しているなら、この製品を手にすることで生産性向上を実現できるだろう。それにあてはまらない場合は、現状で8コア以上は必要なく、なんなら動作クロックが高い製品を選ぶ、あるいは選んだCPUをOC運用した方がメリットが大きいと思われる。

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