比較的負荷が軽いゲームについて、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク(FF14ベンチ)」を使ってもう少し検証してみよう。
今回は「最高品質」の「フルスクリーン」設定で、3つの解像度(フルHD、WQHD、4K)でテストを実行した。結果は以下の通りだ。
フルHDでは、先ほどのFire Strikeよりも大きなスコア差が出ている。これはCPUの性能差だけではなく、メインメモリのクロック差も影響している。
Core i9-10900Kは、従来よりも高クロックのDDR4-2933メモリに対応する。それに対して、Core i5-10600Kは前世代までと同じDDR4-2666メモリに対応している。メモリのクロック差は、そのままアクセス速度の差につながる。これが、ベンチマークスコアの差として表出しているのだ。
最近では、DDR4-3200メモリが手頃な価格で入手できる。XMP(オーバークロック)設定を適用して活用するのも現実的だろう。
「なら、4Kだと差があまり出ないのはなぜ?」と思うかもしれない。これは、ここまで高解像度になるとCPUやメモリよりもGPUの方が“ボトルネック”になるからである。
今度は、ゲームベースのベンチマークアプリとしては負荷が重めのスクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチ)」を試した。
今回は「高品質」の「フルスクリーン」設定で、FF14ベンチと同じ3つの解像度でテストを実行した。結果は以下の通りだ。
FF14ベンチと比べると、FF15ベンチではCPUによる差はあまりない。解像度が上がるほど差は小さくなり、4Kで誤差といってもいいようなわずかな差となる。
FF15ベンチはDirectX 12を利用するが、その割にCPUによる有意な差が見られない。「DirectX 12ゲームならCore i9-10900Kのポテンシャルを生かしきれる」とは言いきれないようだ。
最後に、システム全体の消費電力をチェックする。
起動後10分間何もせずに安定させた場合の値を「アイドル時」、3DMarkのTime Spy Extremeを動作させた際の最高値を「高負荷時」としてワットチェッカーで計測した。
いずれもTDP125WのCPUということで、高負荷時の消費電力は高い。Core i9-10900Kは339W、Core i5-10600Kは335Wと、4W程度の差が出た、一方、アイドル時の両者の電力差は5W程度となる。
システム全体としては、前世代から大きく消費電力が変わるわけではない。電源の面ではそれほど神経質になる必要はないだろう。
ここまで第10世代Coreプロセッサの特徴を見てきたが、少なくとも前世代から順当な性能向上は果たせており、性能的には魅力あるCPUであることは間違いない。Core i7以下のモデルは、価格的にも第9世代Coreプロセッサとの差が小さく、スレッド(論理コア)の増加による性能アップの恩恵を受けられるため、コストパフォーマンスは非常に良好といえる。
ただし、最上位のCore i9-10900Kは実売価格が7万4000円〜8万円程度で、メインストリームCPUとしてはかなりの高価格であり、手を出しにくいことも偽らざる事実だ。「Core i9-9900KS」よりもさらに高価であることと、競合であるAMDには実売6万円前後で購入できる12コア24スレッドCPU「Ryzen 9 3900X」もあることを考えるとなおさらだ。
Core i9-10900Kは、ゲームでさらなるオーバークロックをして性能を引き出すなど、製品のメリットを最大限に生かせる上級者向けの製品と言えるかもしれない。
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