レノボ・ジャパンが5月29日に発売した新たなフラグシップノートPC「ThinkPad X1 Carbon(Gen 8)」を短期集中レビューするこの連載。前回は、実機の写真を交えて進化点をチェックした。
Gen 8には第10世代Coreプロセッサ(開発コード名:Comet Lake)が搭載されている。その製造元であるIntelは、2〜3世代前のCoreプロセッサとの比較と共にComet Lakeを紹介することが多い。
ちょうど、筆者の手元には第7世代Coreプロセッサ(開発コード名:Kaby Lake)を搭載する「ThinkPad X1 Carbon(5th Gen)」がある。3世代前のCPUを搭載する、3世代前の製品だ。
今回は、ベンチマークテストを通して3世代分の“進化”をチェックする。
この連載でレビューしているGen 8(2020年モデル)は「20U9S01N00」というモデルだ。前回のおさらいとなるが、主なスペックは以下の通りだ。
一方、比較対象となる5th Gen(2017年モデル)は筆者の私物の「20HRCTO1WW」というカスタマイズ(CTO)モデルだ。前回も述べた通り、ThinkPadのカスタマイズモデルは製品(モデル)番号だけではスペックを特定できない。筆者の個体は以下のような構成となっている。
ディスプレイとストレージ以外は、5th Genにおける“最上位”を選択している。ストレージは最小構成とし、現在は512GBのNVMe SSDに換装してある。
5th GenとGen 8の最大の違いは、CPUにある。片や2コア4スレッド、片や4コア8スレッドである。コアの数が倍になっただけでも、それなりの演算能力差があるはずだ。
そこで、CPUの演算能力を試すべく「CINEBENCH R20」のCPUテスト(マルチコア)を実施することにした。結果は以下の通りである。
Gen 8は、5th Gen比で約2.87倍のポイントを記録した。コア数の差だけでなく、最大クロック(周波数)の差も影響したものと思われる。
「世の中、CPU性能だけが全てではない」という声もあるだろう。そこで、ULの総合ベンチマークテストソフト「PCMark 10」を使って日常における使い勝手をスコア化することにした。
まず、通常のテストを実施した。結果は以下の通りだ。数値は総合スコア、Essential(通常利用における基本性能)、Productivity(オフィスワークの生産性)、Digital Content Creation(写真や動画の編集/製作能力)の順で列記する。
CINEBENCH R20のスコアと比べると、両者の差はそれほど大きくないように見える。ただ、CPUコア数の差が影響しやすいDigital Content Creationでは、1000ポイント近い差が出た。
写真や動画を扱う機会が多い人なら、5th GenからGen 8への買い換えは十分に“あり”といえそうだ。ただ、言い方を変えれば、写真や動画を扱う機会が少ない人は、まだ“ステイ”で良いということでもある。
ターゲット層を考えるとニーズは少ないかもしれないが、3Dゲーミングに関するテストを追加したExtendedテストも実施してみた。結果は以下の通りだ。数値は総合スコア、Essential、Productivity、Digital Content Creation、Gaming(ゲーミング)の順で列記する。
Essentialで数値が落ち込んでいることは気になるものの、その他のスコアはGen 8の方が良好だ。Gamingでは、CPUコアの数が影響する物理演算スコア(Physics Score)が2倍以上に伸びたものの、その他の値の伸びは大きくない。
CPUコアやスレッドの数がものをいう作業をする場合は、Gen 8に買い換えるメリットは大きくなりそうだ。
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