そのようなApple Watch series 6で、何といっても注目なのが血中酸素ウェルネス機能だ。血液中のヘモグロビンによって全身に送られる酸素の量を測り、呼吸器系の健康状態を探る手がかりになると目されている。
実際に測ってみると、1回目だけ腕を机の上など静かな場所に置くように計測時の注意が表示される。これを読んで計測を実行をすると、15秒の計測アニメーションに続いて「%」表示で計測値が出てくる。
1日使ってみたが、心拍数以上に数値の変化が激しい指標のようだが、健康な状態であれば95〜100%の間に収まっているとのことで、筆者も半日測った数値は最低95%、最高100%だった。
この数値が極端に下がるとどのような影響が出るのかは、発表会の記事でも書いた通り、現在まだ調査中だが、健康機器に詳しい多くの人が、身体がフィットネスで受ける影響などを測る目的で、この計測機能を渇望しているようだ。他社製品の同機能が日本で使えない中、Appleが先駆けて機能を提供したことも大きな話題となっている。
最初はおもしろくて何度か連続で測ってしまったが、それなりにバッテリー消費の大きい機能のようなので注意が必要だ。なお、この数値はアプリを起動しなくても、腕をあまり動かしていないタイミングで定期的に記録される。睡眠中も計測対象だが、寝ている間、激しく動く人は計測回数が減ってしまうようだ。
Apple Watch series 6ならではとなる、もう1つの特徴が明るい常時点灯のディスプレイだ。太陽光の下でseries 5やSEと比べたところ、他の2機種もなかなか健闘はしているが、確かにseries 6の方がハッキリと明るく盤面を読み取ることができた。
さらに、Apple Watch series 6はパフォーマンスも大幅に向上しており、アプリの起動なども従来モデルより20%ほど速いということだが、正直、Apple Watch用アプリで、そこまで起動に時間がかかるアプリがないので、ここはなかなか実感できなかったが、今後、高速プロセッサを生かして、この小さな時計の上で、より複雑な処理をこなすアプリが登場してくるのかもしれないと考えると、少し期待が膨らむ。
実は処理能力の速さ以上に大きな恩恵を受けたのが、5GHzのWi-Fiに対応したことで、アプリのインストール時間は、これまでのApple Watchと比べてかなり速くなった印象だ。
また、試すことはできていないが、Apple Watch series 6には、これまでiPhone 11 Proなどにしか搭載されていなかったU1チップが搭載されており、物の位置や方向を測位できるUWB(Ultra Wide Band)という通信技術を利用できる。現在、明かされている使い道はメルセデスベンツなどの1部の車種でApple Watchを鍵代わりにする、という使い方だけだ。
ただ、「血中酸素濃度」も「高速なプロセッサ」も「U1チップ」も、どちらかというと今すぐよりかは、これから先に新たな可能性を見せてくれそうな将来に向けた技術だ。そういう意味では、Apple Watch series 6には最新技術を真っ先に体験したい人や、技術の発展に寄与する余裕がある人がターゲットと言えそうだ(約1.5時間の充電は、すぐに得られる恩恵だが)。
もう1つは、この製品をファッションアイテムとして楽しめる人たちだろう。そうした人たちのためには、他の素材でできたケースや魅力的なNike、エルメスとのコラボモデルも用意されている。
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