当然ながら、Radeon RX 6000シリーズは実際のパフォーマンス次第では極めて有力なグラフィックスカードの選択肢となり得る。果たしてどの程度の実効性能が出せるのだろうか。Radeon RX 6800とRadeon RX 6800 XTのパフォーマンスをベンチマークテストを通してチェックしていこう。
今回は以下のようなシステムを用意した。比較用に、GeForce RTX 3080とGeForce RTX 3070を搭載するグラフィックスカードもそろえた。GPUドライバは、Radeon 6000シリーズはテスト版の「Adrenalin 20.45.01.12-11.6 Beta」を、GeForce RTX 30シリーズはテスト時点で最新の「457.30」を用いた。
ちなみに、今回はRadeonのベンチマークテストにおいて原則としてSAMを“有効”とした。ただし、後半のテストではSAMの有効、無効でのパフォーマンス差もチェックしている。
先述の通り、SAMの利用には、マザーボードのUEFIの更新が必要な場合もあるので注意してほしい。
まずは、3D描画性能を確認できる定番ベンチマークソフト「3DMark」の結果を確認していこう。
DirectX 12ベースの「Time Spy」系テストにおいて、最も優れたスコアを記録したのはGeForce RTX 3080で、そこにRadeon RX 6800 XTが僅差で迫った。これらに少し差を付けられた形でRadeon RX 6800、さらに差が開く形でGeForce RTX 3070が続いた。
想定販売価格を考えると、この序列自体は妥当といえるが、GeForce RTX 3080とRadeon RX 6800 XTとのスコア差はフルHD(1920×1080ピクセル)の「Time Spy」で1%、WQHD(2560×1440ピクセル)の「Time Spy Extreme」で3%前後と、ほとんどないに等しい。ちなみにGeForce RTX 3070とRadeon RX 6800の差は6〜8%前後だ。
DirectX 11ベースの「Fire Strike」系ベンチマークでは、結果が大きく変動した。Radeon RX 6800 XTが全てのテストで首位におどり出たのだ。Radeon RX 6800のスコアは、GeForce RTX 3080に迫るか、上回る程度にまでなっている。テストによっては、GeForce RTX 3080が3位になっている。
スコアを精査してみると、Radeon RX 6000シリーズは、特に「Graphics Score」を稼いでいる。実際のゲームではどの程度フレームレートに反映されるかが、見どころの1つといえるだろう。
「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークテスト(FF14ベンチマーク)では、描画品質を“最高品質”に設定し、フルHD、WQHD、4K(3840×2160ピクセル)の3種類の解像度で計測を実施した。
FF14ベンチマークは、元々NVIDIA製のGPUが優位に立つ傾向にある。そのこともあり、フルHDでは首位がGeForce RTX 3080、2位がGeForce RTX 3070という結果となった。しかし、WQHD以上の解像度では、Radeon RX 6800 XTが2位、Radeon RX 6800が3位に上昇し、価格相応の並びになる。
実際のゲームをベースとするベンチマークテストでは、ゲームエンジンの最適化具合の影響を強く受ける。「このような結果になることもあり得る」という程度で受け止めると良いだろう。
重量級タイトルとして名高い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」のベンチマークテスト(FF15ベンチマーク)のスコアもチェックする。描画品質は“高画質”で、解像度はフルHD、WQHD、4Kの3種類で計測している。
スコアの1位はGeForce RTX 3080、2位はRadeon RX 6800 XT、3位はRadeon RX 6800、4位はGeForce RTX 3070となった。GPUへの負荷の高さが影響したのか、純粋にGPUの馬力が反映される結果となった。
GeForce RTX 3080とRadeon RX 6800 XTのスコア差は、フルHDで約4%、4Kで約10%前後と、負荷が高まるほどスコア(パフォーマンス)に開きが出てくる。Radeon RX 6800とGeForce RTX 3070の差は3〜5%程度で、どの解像度でも僅差といえる。
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