ベンチマークセッションの最後に、Radeon RX 6000シリーズにおいてSAMを無効にした場合のフレームレートの変動をチェックしてみたい。
比較的軽量なレインボーシックス シージと、重ためのボーダーランズ 3の2タイトルを使って、SAMを無効にした場合のフレームレートを計測した。それ以外の条件は、先に行ったテストと同様としている。
レインボーシックス シージの場合、有効時と無効時で平均/最小フレームレートはほぼ変わらない。あくまでも、SAMはパフォーマンス上のボトルネックになり得るメモリアクセスを改善するための機能であり、タイトルによってはうまく働かないこともあり得る。
一方、ボーダーランズ3では、SAMを有効化することで分かりやすくパフォーマンスが向上する。Radeon RX 6800 XTの場合、フルHDでのフレームレート上昇幅は約9%、Radeon RX 6800では8%ほどで、いずれも大きな改善を見せている。
今回はごくわずかなタイトルしか試せていないが、AMDの資料によると、他にも「バイオハザード RE:3」、「Forza Horizon 4」などのタイトルでフレームレートの向上が見込めるようだ。
第4世代RyzenプロセッサとRadeon RX 6000シリーズを組み合わせる場合は、SAMはぜひ有効にしておきたい。
ここまでベンチマークテストをしてきたシステムにおける消費電力はどうだろうか。ワットチェッカーで測ってみよう。起動後10分間何もせず放置した状態の電力値を「アイドル時」、3DMarkのTime Spy Extremeを動作させた際の最高電力値を「高負荷時」として記録した。
アイドル時の消費電力はいずれも60W程度だが、Radeon RX 6800 XT搭載時は高負荷時の電力が446Wまで上昇した。GeForce RTX 3080の471Wには及ばないが、パフォーマンスが向上した分だけ、それなり電力を消費する。Radeon RX 6800のピーク時の電力は372Wで、GeForce RTX 3070よりも10Wほど高い。
いずれにせよ、電源ユニットに関しては750W〜850W以上の容量の製品を用意すると安心である。
ここまで見てきた通り、Radeon RX 6800 XT/6800は、NVIDIAのGeForce RTX 30シリーズのハイエンドGPUと肩を並べる、極めて高いパフォーマンスを発揮する。前世代のRadeon RX 5000シリーズでは果たせなかった、NVIDIAとのハイエンド帯での“真っ向勝負”がいよいよ実現する。高性能GPUを待ちわびたAMDファンならずとも、注目に値する製品といえる。
ベンチマークテストでも述べた通り、DXRのパフォーマンスはGeForce RTX 30シリーズには一歩及ばない。しかし、DXR対応タイトルをプレイする機会がないというユーザーにとっては大きなデメリットとはいえない。
こうなると、12月に発売を控えるRadeon RX 5900 XTの“仕上がり”や、Radeon RX 6000シリーズに対するNVIDIAの反応(追加のシリーズ製品がリリースされるかどうか)も気になってくる。
今後しばらくは、GPU市場の動向から目が離せないだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.