ここからは、GeForce RTX 3060 Tiの実力をベンチマークテストを通してチェックしていこう。
RTX 30シリーズはPCI Express 4.0接続をサポートする。そのため、同規格を利用できるCPU「Ryzen 9 5900XT」(3.7G〜4.8GHz、12コア24スレッド)と「AMD X570チップセット」を搭載するマザーボードを用意してテストを実施した。
比較対象として、GeForce RTX 3080、GeForce RTX 3070、GeForce RTX 2080を搭載するグラフィックスカードも用意している。グラフィックスドライバーは、RTX 3060 Tiのみテストバージョンの「457.40」、それ以外は最新の公式バージョンである「457.30」を使用した。
まず、「DirectX Raytracing(DXR)」を使わないテストを進めていこう。
始めに、3Dグラフィックスに関する定番ベンチマーク「3DMark」から、DirectX 12ベースの「Time Spy」シリーズ、DirectX 11ベースの「Fire Strike」シリーズのテストを実行した。今回は、フルHDで描画する無印テストとWQHDで描画する「Extreme」テストを試している。Fire Strikeについては、4K(3840×2160ピクセル)で描画する「Ultra」テストも行った。
まずTime Spy系テストの結果だが、同世代のハイエンドGPUであるRTX 3080とRTX 3070を比べると、RTX 3060 Tiはスコアで明確な差を付けられている。ある意味で順当な結果といえる。
注目すべきは前世代のRTX 2080との比較だ。どの解像度のテストでもRTX 3060 Tiの方がスコアが良い。Time Spyでは10%前後、Time Spy Extremeでは約15%の差が付いた。NVIDIAが言及した「RTX 2080 SUPER」との直接比較ではないものの、これだけでもRTX 3060 Tiのポテンシャルの高さが垣間見える。
Fire Strike系のテストでも、傾向は変わらない。全GPUに明確な“序列”を見て取れる。
399ドルのRTX 3060 Tiが、発売当時で699ドルだったRTX 2080を性能で軽く上回ってしまうことは、なかなかにインパクトの大きいことだが、これまでのRTX 30シリーズのテストを振り返ると「さもありなん」である。
次に、実際のゲームをベースとするベンチマークテストとして「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を実行した。描画品質は「最高品質」とし、フルHD、WQHD、4Kの解像度で計測した。
このベンチマークにおいて、RTX 3060 TiがRTX 2080を上回るのは当然として、解像度によってはRTX 3070に迫る総合スコアを獲得していることが興味深い。RTX 3060 TiとRTX 3070とのスコア差は、フルHDでは1〜2%前後、WQHDでは7%前後、4Kでは10%前後となった。負荷が高いほど差が開く傾向にある。
高解像度になるほど、GPUの自力の差が出てくるわけだ。
より負荷の高いベンチマークテストとして、DirectX 12ベースの「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(FF15ベンチマーク)」も実行した。描画品質は「高画質」とし、フルHD、WQHD、4Kの3解像度で計測した。
全体的に高負荷なこともあって、いずれの解像度でもGPUの序列は3DMarkの時と同じである。RTX 3060 TiとRTX 3070とのスコア差は、フルHDで約10%、WQHDで約12%、4Kで約11%ほどとなっており、FF14ベンチマークと比べると解像度によるスコアの開きは少ない。
RTX 2080との比較では、RTX 3060 TiはフルHDおよびWQHDで約8%、4Kで12%ほど良いスコアを記録した。
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