最後に、システム全体の消費電力をチェックしよう。3DMarkのTime Spy Extremeを実行中の最高消費電力を「高負荷時」、PCの起動後10分間何もせず放置した状態後の消費電力を「アイドル時」としてワットチェッカーで計測した。
アイドル時の消費電力はいずれも60W程度。高負荷時にRTX 3080の電力消費がずば抜けているのは当然として、注目したいのはRTX 3060 TiとRTX 3070、RTX 2080の高負荷時の電力消費の関係だ。
高負荷時の消費電力はRTX 3060 Tiが最大322W、RTX 3070が最大338W、RTX 2080が最大326Wと、いずれもあまり差はない。RTX 3070の優秀さが光るが、RTX 2080より安定して10%前後高い性能を発揮し、消費電力も4W少ないRTX 3060 Tiは決して悪くない選択肢といえるだろう。
GeForce RTX 3060 Tiは、前世代のハイエンドGPUであるGeForce RTX 2080を明らかに上回るパフォーマンスを発揮しつつ、価格と電力の面において優位に立っている。RTX 30シリーズのご多分に漏れず、価格の割に優秀なGPUである。
順当に性能はRTX 3070の「ワンランク下」であり、取り立てて特徴があるわけではない。しかし、シリーズで最も手頃な399ドルという価格は、ユーザー視点では非常に魅力的であることは間違いない。
国内で発売されるGeForce RTX 3060 Ti搭載グラフィックスカードの実売価格は、おおむね5〜6万円台になることが予想される。安いとは言い切れないものの、これまでのRTX 30シリーズのグラフィックスカードと比べれば、非常に手を出しやすい価格ではある。4Kゲーミングが視野に入るGPUをこの価格で手に入れられるということは、ゲーマーにとってはありがたいはずだ。
とはいえ、この価格帯より少し下位のグラフィックスカードを狙っている人が、少し予算を増やしてRTX 3060 Tiに飛びつくべきかどうかは悩ましい。というのも、そう遠くない時期に、より廉価な「GeForce RTX 3060(仮)」や、「GeForce GTX」シリーズの性能を向上した新モデルが投入されることも十分に考えられるからだ。
また、競合のAMDが先般、「Radeon RX 6000」シリーズのハイエンド製品を投入した。順当に考えれば、Radeon RX 6000シリーズのミドル〜ミドルハイクラスGPUも近々登場するはずである。
最近、GPUを巡る動向は激しさを増している。「どうしてもすぐに欲しい」ということでなければ、市場の動向をしばらく見守ってから購入するのも“アリ”だろう。
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