こうして完成したラベルを調味料ボトルに貼ったところ、棚に統一感が生まれた。ボトルの種類が違っていても、貼り付け位置が多少ズレてしまっても、見た目がこれほど良くなるとは思っていなかったので、驚きだ。
ラベルがこんなに小さくても、存在感は出るのだなぁと、妙に感心してしまった。
モノはついで、ということで、「小松菜ご飯」「エビピラフ」……など、パッケージを見れば一目瞭然な非常食にもラベルを貼ることにした。一見ばかげたことに見えるが、あえて貼り付けたのには理由がある。MARK×Helloの「タイムラベル」機能を使うためである。
簡単に紹介すると、タイムラベルはラベルとスケジュールを“連動”させることで、スマホを介してユーザーに通知を出すという機能だ。
通常、プリントしたラベルシールは、モノを整理したり見分けたりするのに使われる。それは貼り付けてあるという「静」の状態であって、動くのは人間である。それに対し、タイムラベル機能を使ったラベルシールは、スケジュールに定めた時間になるとユーザーに働きかけるという点で「動的」である(正確にはHelloアプリを入れたスマホが通知するのだが)。
タイムラベルは、印刷履歴から設定できる。設定したいラベルをタップし、「タイムラベルを設定」をタップすると、設定画面に遷移する。画像を合わせて登録することもできるので、ラベルを貼る対象物の写真を添付しておくと、メモ代わりにもなる。
例えば、ゴミ箱用に「燃えるゴミ」というラベルシールを作り、タイムラベルで「毎週」「木曜日」と設定すれば、木曜日になった時点で通知が届き、ゴミ捨てを促してくれる。「第2、第4土曜日にビンの収集」といったように隔週回収のゴミがある場合は、予定を「2週間ごと」に設定すれば良い。ただしこの場合、同じ曜日が5回ある月の翌月には、予定の調整が必要だが……。
このタイムラベルが特に役立つと思われるのが、先に触れた非常食である。2〜3カ月も住んでいれば覚えられるゴミの収集日とは異なり、最近では3年どころか5〜6年持つ非常食の賞味期限は、正直覚えきれない。買ってきた当初は「あと4年たったら食べて、新しいのに入れ替えるぞ!」と、いわゆる「ローリングストック」をする気満々だったはずが、忘れてしまうことはよくあることだ。
「買ってすぐにスケジューラーに入れればいいじゃないか」と言われるかもしれないが、入れたかどうかも、きっと忘れてしまう。できれば「カレンダーに入れた」という、“目に見える”証拠が欲しいわけである。このような需要にマッチするのが、このタイムラベル機能なのだ。
個人的には、タイムラベルに画像を登録しておけるのは非常にありがたいと感じた。というのも、非常食のように長期間見ない可能性があるものは、単に通知が届いても「見た目」を忘れてしまう可能性があるからだ。写真も一緒に保存できれば、このような問題もない。
まさに忘れっぽいわたしにうってつけの機能満載なのだ。
ここまでMARKとHelloアプリの良い点を紹介してきたが、不満点も大きく2つある。
1つは、各カテゴリーのテンプレート詳細をフリックで移動できないことだ。テンプレートを閲覧する際に、選んだテンプレートから別のテンプレートの詳細を見るためには、いったんテンプレートリストに戻らなければならない。
少し分かりづらいので、「Googleフォト」アプリやiOSの「写真」アプリで例えてみよう。両アプリでは、写真一覧から1枚選んで全画面表示した後に、横にフリックすれば前後に保存した写真も閲覧できる。しかし、Helloアプリでは、テンプレートをフリックして閲覧できない(切り替えられない)のだ。
次々と表示できないため、いちいち戻って選び直さないといけない――これは面倒くさがり屋にとってプチストレスである。他のものを選ぶのが面倒なので、「最初に選んだこれ“で”いいや」となってしまう。
もう1つは、タイムラベル設定の複製ができないことだ。同じ日時のものを設定するのに、「また日付設定をしないといけないのかぁ……」と憂うつになってしまう。せめて、「リセット」するまで前回のタイムラベル設定を覚えていてくれればよいのだが、と思うのだ。
気になる点があるとはいえ、そこはアプリ。いくらでも修正や改良はできる。
そのことを考えれば、MARKは多くの人にオススメしたいラベルライターである。整理整頓を日常的にできるマメな人であれば、普段の作業がもっとはかどるだろうし、もっと楽しくなるはずだ。
逆の人種――わたしのようにズボラで面倒くさがり屋で忘れっぽい人にとっては、MARKは“救世主”のような存在になるだろう。スケジューリングとラベリングが一度で目に見える形で行え、忘れたとしてもアプリの通知を見るだけで思い出せるような工夫がされているからだ。
本誌が「ITmedia PC USER」であることから、PCとの接続も試してみたが、キングジムのサポートサイトにもあるように、Bluetoothデバイスとして検索することもできず、他に接続方法が見つからなかったことから断念した。MARKが「スマホ専用ラベルライター」であるという事実を再認識させられるだけの結果となったことも報告しておく。
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