続いて、3Dグラフィックス(GPU)の性能を確かめる「3DMark」を実行する。今回は、DirectX 12ベースの「Night Raid」のみを実行している。総合スコアは以下の通りだ。
Iris Xe Graphicsは、エントリーレベルのノートPC向け外部GPUと同等の性能を持つとされている。それを裏付ける好スコアといえるだろう。
実際のゲームベースのベンチマークテストである「ファイナルファンタジーXIV:漆黒の反逆者 ベンチマーク」(FF14ベンチマーク)も合わせて実行してみた。解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)のフルスクリーンで、「最高品質」と「標準品質(ノートPC)」のテストを実行した。結果は以下の通りだ(数値は「最高品質/標準品質」の順に掲載)。
こちらも、XPS 13 2-in-1の方が良好なスコアを記録した。負荷のかかるタイトルでなければ、GPUボックスなどを用意することなくゲームを楽しめそうだ。
今回レビューしているXPS 13 2-in-1には、キオクシアのSSD「BG4シリーズ」の256GBモデル(KBG40ZPZ256G)が搭載されている。BG4シリーズは同社のクライアントSSDの中ではミドルレンジに相当し、公称スペックはシーケンシャル(連続)読み出しが毎秒2200MB、シーケンシャル書き出しは毎秒1400MBとなっている。
このSSDの読み書き速度を「CrystalDiskMark 7.0.0」でチェックした結果は以下の通りだ。
シーケンシャルの読み書きは、公称スペックよりも少し良い値となった。ランダムの読み書きも、十分な速度を確保している。これだけの速度が出れば、日常利用において不満を覚えることはないだろう。
最後に、「BBench 1.0.1」を利用してバッテリー駆動時間を計測した結果は以下の通りだ。
XPS 13 2-in-1のWUXGAモデルの、自社測定値で14時間とされている。テストでの実測値でも10時間を超えたことから、1日程度の外出なら充電なしでも十分に使えそうだ。
以上のように、搭載したCore i5-1135G7の動作クロックと、Iris Xe Graphicsの性能の良さが相まって、XPS 13 2-in-1は良好なベンチマークスコアを残した。
ただ、高い処理能力は時に「発熱と騒音」をもたらす。XPS 13 2-in-1では、この問題を乗り越えられているのだろうか。3DMarkのNight Raidテストを実行し、CPUテストが始まってから1分後の発熱状況と騒音を計測してみよう。結果は以下の通りだ。
キートップやパームレストといった、手や指を置く機会が多い場所における表面温度が体温を下回ることから、熱で不快さを覚えることはない。ただし、ホームポジションの上段からファンクションキーにかけたエリアは温度が高くなる傾向にある。試しに測定した「F5」キーでは、表面の温度が43.7度となっている。
騒音は43.4dBAと比較的静かだった。ファンの風切り音も、耳障りとなるような高音は発生しにくい。図書館のような静かな場所では隣の席に座ると多少耳に入ってくるかもしれないが、離れた場所、もしくは喫茶店のような他に音が発生しているような場所では気にならないだろう。
第11世代Coreプロセッサーの中でミドルクラスとなるCore i5-1135G7を搭載するXPS 13 2-in-1は、全体的なパフォーマンスにおいて第3世代Ryzen Mobileプロセッサを搭載するノートPCをわずかに上回る。
一方、「モバイルノートPC」あるいは「モバイル2in1 PC」と見た場合、XPS 13 2-in-1は決して軽量とはいえない。しかし、どこでもタブレットのように使うのではなく、状況に合わせて柔軟に本体のスタイルを変えて使うのであれば、問題のない重さといえる。ディスプレイは明るく色域も広く、キーボードは個性的なタイプ感ながらもキーピッチを十分に確保している。
従来世代と比べて“一線を画する”ほどの革新的飛躍はないものの、前モデルと比べて処理能力と省電力のバランス感が向上し、それに伴い発熱と騒音の抑制を実現したXPS 13 2-in-1は、2021年に向けて新しいモバイルノートPCを探しているユーザーにとって検討すべきモデルといえるだろう。
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