NVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 3060」を搭載するグラフィックスカードの販売が、間もなく解禁される。
RTX 3060の概要スペックは、1月に行われたオンラインイベントで明らかにされている。ミドルレンジゲーミングにおける待望の新GPUであることはもちろんだが、グラフィックスメモリの容量が12GBと上位の「GeForce RTX 3060 Ti」よりも多いことで注目を集めたことも記憶に新しい。
この記事では、ZOTAC製のグラフィックスカード「GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」を使用して、GeForce RTX 3060の“実力”をチェックしていく。グラフィックスカード選びの一助になれば幸いだ。
GeForce RTX 30シリーズにおいて、GeForce RTX 3060はGeForce RTX 3060 Tiの下位モデルという位置付けなのは先述の通り。そのスペックを、もう少し詳しく見ていこう。
シリーズの上位モデルと同様に、GPUのアーキテクチャは最新の「Ampere(アンペア)」を採用している。Samsung Electronics(サムスン電子)の8nmプロセスで作られている点も同様だが、GPUコアは「GA106」というシリーズの従来製品とは異なるものとなっている。
主なスペックを列挙すると以下の通りとなる。
上位製品であるRTX 3060 Tiと比べると、GPUコア(SM)やCUDAコア(並列処理プロセッサ)の数は控えめで、明確なパフォーマンス差が設けられている。実際のパフォーマンスについてはベンチマークテストを通してチェックしていくとして、興味深いのはグラフィックスメモリ(VRAM)の容量の大きさである。
シリーズの既存モデルにおけるVRAM容量を振り返ると、GeForce RTX 3080では10GB、GeForce RTX 3070/ 3060 Tiでは8GBであったのに対して、GeForce RTX 3060は12GBも搭載している。シリーズのエントリーモデルなのにVRAMの容量はシリーズで最大である。発表時、このことは少なからず物議をかもした。
GeForce RTX 3080/3070のリリース時を振り返ると、「スペックの割にVRAMの容量が少ないのでは?」という声もちらほら聞かれた。エントリーモデルであえてVRAMの容量を“増やした”理由は明らかとなっていないが、ライバルのAMDのRadeon RX 6000シリーズが(現時点では)全モデルが16GBのVRAMを備えていることを意識した可能性は否定できないだろう。
もっとも、このVRAM容量の増加が素直に喜べるものかどういかと言われると微妙でもある。GeForce RTX 3060のVRAMのメモリ帯域幅は192bitで、GeForce RTX 3070/3060 Tiの256bitよりも狭くなっている。容量が大きくてもアクセススピードは落ちるため、性能に与えるインパクトは少ない。VRAM容量がモノをいう動画や写真の編集作業を除くと、容量アップの恩恵にあずかれる場面は少ないだろう。
カードの最大消費電力は170Wで、GeForce RTX 3060 Tiと比べると30Wほど低い。これまでのシリーズ製品に比べれば「省エネ」であり、サードパーティー製のグラフィックスカードのGPU補助電源ピンは「8ピン×1」構成が基本だ。今回レビューで用いるGAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OCも、GPU補助電源ピンは8ピン×1となっている。
冒頭で述べた通り、GeForce RTX 3060を搭載するグラフィックスカードの米国における想定販売価格は329ドル(約3万5000円)で、GeForce RTX 3060 Tiよりも70ドルほど安い。国内での初出価格は4万円台後半から5万円台前半となる見込みだ。
折しも現在、世界的な半導体の供給不足に加え、仮想通貨の高騰によるマイニング需要の高まりもあって、PCショップから軒並みグラフィックスカードが消えている状況である。GeForce RTX 3060を搭載するカードの在庫がどうなるのか、非常に気なる所ではある。
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