「ああ、こんなことなら逐一、クラウドサービスに保存しておけば良かったなあ……」
と頭を抱える。
だがその時、ふと思い出した。
8月にLAVIEを買って起動した際に、最初から製品に付属していたMicrosoft Office Home & Businessに含まれるクラウドサービスであるOneDriveに入っていたのだ。
その時は、
「ちぇっ。最初からサービスに加入させやがって!! 後で退会しよう」
と思ったのだが、結局そのままにしてあった。急ぎ足で帰宅して、予備のノートPCを開く。
早速、OneDriveにアクセスしてみると、何と作画データが残っていた!
それは、HDDが壊れる数分前のデータだった。またそれ以外にも壊れたPCで作業したデータがそのまま残っていた。予期せぬ思わぬ幸運に、
「おっしゃあっっ!!」
と1人でガッツポーズをしてしまった。
真っ先にノートPCに液晶タブレットを接続して、作業を再開した。
ちなみにノートPCは2020年に購入したNECパーソナルコンピュータの再生品だ。少々ジャンク感があるものの、メモリ容量が8GBと僕が漫画を描くのには十分に使える。そもそも、外出先で漫画を描くために買ったノートPCだ。
そんなこんなで、問題なく漫画を描くことができて締め切りにも間に合った。
ホッと気が抜けたが、そこでハッと思い出す。データが復旧できたら11万5500円もかかってしまうのだ。この期におよんで、
「クラウドにデータ残っていたので、もう大丈夫です」
とは言えない。
「どうか、データ復旧できませんように!!」
と神様にお祈りする。何だかおかしなことになってきた。そして、1月18日に運命の電話がかかってきた。
「データ復旧を試みたのですが、フォルダーは何とか再現はできたものの、それ以外のデータは一切復旧できませんでした。ですのでお金はかかりません。大変申し訳ありません」
と、非常に申し訳なさそうに言われた。
もちろん、こちらは願ったりかなったりで、再び
「おっしゃあっっ!!」
と叫びたいところだが、ぐっとこらえて
「そうですか……残念です……」
と悲しそうに答えた。
結果的に、運搬や対応などにかかった時間とその間の精神的な焦りを除けば、大きな損失は出なかった。
しかし、8月に購入した15万円の新品のPC(正確にはHDD)が、5カ月後の1月に再起不能なほど壊れるってどういうこと? という話だ。機械は必ず壊れるし、特にHDDはしばしば壊れる。それまでの使い方や運不運といった要素もあるだろう。
もちろん、故障したLAVIEを修理に出すことはできるが、残念ながら今後このPCを信じて作業を続けられる気がしない。
「ガッツリと浮気した相手を、今までのように愛し続けることができるか?」
みたいな話である(個人の感想です)。
ここは散財になるけれど、新しいPCを購入した方がいいのだろうか?
そこで、PC回りの事情に詳しいライターの古田雄介さんにメールで相談をしてみた。すると
「だったら、漫画を描くのに最適化したPCを秋葉原で作ってもらいましょう。そのいきさつを原稿にすれば、少しは元を取れますよ」
と的確なアドバイスをもらえた。
なるほど、こんなに苦労したのだから、原稿くらいにはしたい!!
というわけで、古田さんと秋葉原の『パソコン工房秋葉原BUYMORE店』に出かけることになった。
後編へ続く。
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