PCがクラッシュ! 締め切りが目前に迫ったときにあなたはどうする?【前編】(1/3 ページ)

» 2021年05月06日 06時00分 公開
[村田らむITmedia]

 2021年1月15日の早朝、僕は徹夜で漫画のペン入れを終えた。後はスクリーントーンを貼ったら終わりだ……と思いながら作業を続けていると、急に液晶タブレットの反応がおかしくなった。カクカクと明らかに挙動がおかしい。戸惑っていると、

「問題が発生したため、PCを再起動する必要があります。エラー情報を収集しています。自動的に再起動します」

 という画面に切り替わった。

ブルースクリーン 締め切りの日、当日の朝に突如悲劇は訪れた

 背中にツツッと冷や汗が流れるものの、

「まあ、たまにあるよね。こういうの……。ハハッ」

 と、あまり深刻にならないよう努めながら画面を見つめる。数分後、

「スタートアップ修復でPCを修復できませんでした」

 との文字列が表示された。

ブルースクリーン 文字通り、BSOD(Blue Screen of Death)の宣告がなされた

 絶望感で頭がグラグラする。何とかがんばってPCを起動させようとしたが、セーフモードですら立ち上がらない。

 漫画の締め切りは15日中である。既に20時間を切っている。グッと胃が痛くなり、吐き気がしてきた。

 何もかも投げ出して外へ飛び出したくなる衝動を押さえ、何とかスマートフォンでデータ復旧会社を検索し始めた――。

切羽詰まった土壇場で息絶えたPCを前に、僕は途方に暮れた

フルデジタル化にカジを切った2020年8月

 ここで、僕の漫画を描くスタイルを描きたいと思う。

 現在『本当にあった愉快な話』『本当にあった愉快な話増刊号』『近代麻雀』『紙の爆弾』の4誌で連載している。いずれも4コマ漫画で、合計22ページだ。まれに読み切りなどの仕事も入るので、月30ページくらい描く場合もある。

 漫画家としては少ない仕事量だ。アシスタントも雇っていない。収入もライターとしての方がかなり多く、正直、漫画家と名乗るのはおこがましい気持ちだ。

 2020年までは、ペン入れまではアナログで描いていた。

 具体的には、紙に鉛筆で下書きをし、ミリペンでペン入れをしていた。ペン入れをした原稿は、エプソンのスキャナーを使って600dpiで読み取ってデータ化し、アドビの「Photoshop」でスクリーントーンを貼って仕上げる。

 つまり、ほとんどはアナログだが、最後だけデジタルで作業していた。

 2020年の8月頃に、一念発起してフルデジタルに移行することに決めた。まずはセルシスの「CLIP STUDIO PAINT」と、ワコム製の液晶タブレット「Wacom One」を購入した。

 それまで、PCはNECパーソナルコンピュータのデスクトップPC「VALUESTAR」シリーズを5年ほど使っていたが、移行を機に買い換えることにしたのだ。2015年1月の春モデルからVALUESTARのブランド名はなくなっていたが、ここでも同社製の「LAVIE」シリーズのデスクトップPCを選んだ。

 なぜNECパーソナルコンピュータのPCを選んだかというと、

「大企業のパソコンなら大丈夫だべ」

 という、いかにも昭和のオッサン的発想である。小学校時代に花開いたPC-9801シリーズの黄金時代のイメージを、この令和まで引きずっていたのだ。

 値段は、15万円とまずまずの値段だった。

 その『安心のNECのパソコン』が急にぶっ壊れるというのは、全くの想定外だった。

 これまでの制作過程の場合、例えPCが壊れたとしても、紙で描いた原稿は残る。だがフルデジタルの場合、全部消えてしまう可能性があるのだ。

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