別格のサウンドを楽しめるワイヤレススピーカーで360 Reality Audioを試す山口真弘のスマートスピーカー暮らし(3/3 ページ)

» 2021年05月18日 12時00分 公開
[山口真弘ITmedia]
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立体的に変換した2チャンネル音楽でも驚きの音の広がり

 本連載の主旨からはやや逸れるのだが、製品の特性上、音についてもチェックしておこう。本製品で再生中の楽曲が3D対応か否かを確認するには、本体天板の「♪」マークのLEDを見ればよい。ここが青色であれば対応、消灯していれば非対応だ。

 もっとも本製品は、非対応の楽曲であっても立体的な音に変換する同社の「Immersive Audio Enhancement」技術に対応しており、通常の2チャンネルの音楽であっても、3Dに近い広がりをもって聞くことができる。これが有効だと上記LEDは白く点灯するので、実質的にはLEDが完全に消灯していることは少なく、青か白、どちらかが点灯していることが多い。

 このImmersive AEは、天板の♪マークの部分をタップすることでオン/オフを切り替えられるため、3D(疑似)とそうでない楽曲の聞き比べができるのだが音にあまり造詣がない筆者でも、明らかに分かるほど音の広がりに違いがある。ネイティブの3D音源でなくとも十分すぎるほど音を堪能できるのが、本製品の強みと言えるだろう。

 ただし試した限りでは、隣の部屋に音が響かないよう音量を絞り込んで聞くような場合は、ボーカルが明らかに奥に引っ込んだような聞こえ方になるので、元の2チャンネル音源のままの方が心地よい。

 ネイティブの3D音楽であれ、Immersive AEで立体的に変換した音楽であれ、ある程度の音量を出せることが楽しむための必須条件であり、狭い部屋に無理に導入すると、せっかくの機能が生かせない可能性があるので注意したい。

SRS-RA3000 RA5000 再生中は天板パネルにステータスが表示される。ちなみに再生ボタンを2秒以上押すと3D音楽のサンプルが再生される
SRS-RA3000 RA5000 「♪」マークが青色だと3Dオーディオ対応の楽曲だ
SRS-RA3000 RA5000 「♪」マークが白色は、通常の2チャンネルの楽曲を擬似的に立体的に拡張した状態だ。デフォルトでは有効になっており、タップすることで元の状態(LEDは非点灯)と切り替えられる

「結局スマートスピーカーでは音楽を聞いてばかり」という人に

 本製品は、スピーカー6基とサブウーファー1基を内蔵した上位モデルのSRS-RA5000と異なり、フルレンジスピーカー1基を中心としたコンパクトな構成だが、側面の2基のビームトゥイーターやパッシブラジエーターの効果もあり、一般的なスマートスピーカーとはさすがに格が違う印象だ。

 BluetoothのコーデックはSBCとAACに両対応する他、ストリーミングサービスの圧縮音源を原音に近い形に補完するDSEE技術も搭載しており、スマホと組み合わせての利用では相性がよい。今回は試していないが、Spotifyのユーザーにとっては、スマホをリモコン代わりに使えるSpotify Connectに対応しているのも魅力だろう。

 こうした点を考慮すると、マイク機能も搭載してスマートスピーカーとしても使えればなお魅力が増したように思うが、もともと音が売りの製品ゆえ、そうした発想はおそらくないのだろう。そもそもマイクを搭載するとなると、音楽再生中の音声の聞き取りも配慮しなくてはならず、3D音楽との間でのチューニングも必要になるはずで、技術的にも難易度が上がることは容易に想像できる。

 従って音声アシスタントが非搭載なのは止むなしという結論になるのだが、購入したスマートスピーカーを結局は音楽再生にしか使っていないという人が、上位のサウンドを聞かせてくれる製品を探しているのであれば、Google Homeのネットワークに組み込んで使え、またGoogle Homeのマルチルーム機能にも対応した本製品は、よい選択肢と言える。

 ライバルとなるのは、同じく3D音楽に対応したAmazonの「Echo Studio」で、こちらはDolby Atmosにも対応する他、音声アシスタントも搭載している。また本製品の3万6300円(ソニーストア価格)に対して2万4980円と価格差もある。並べて使っていないので音の違いは未検証だが、実際に製品を選ぶ段階では、ワンランク上の価格帯である上位モデルのSRS-RA5000(ソニーストア価格6万6000円)とともに、比較対象となりそうだ。

SRS-RA3000 RA5000 ボディーの巨大さが特徴とも言える画面付きスマートスピーカー「Echo Show 10」(右)とは、ボディーの直径がほぼ同じだ
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