ドライブが付属せず自分でドライブを用意して組み込むタイプのNAS、いわゆる「NASキット」の多くは、ドライブの交換による容量増に対応している。2本のドライブを1本ずつ交換することから、RAID 1以上であることが前提になるが、電源を入れたまま作業が行えるので、運用を止めずに容量を増やせるのが利点だ。
こういったドライブ交換による容量増加の手順について、ASUSTORのNASを例に紹介した。今回はQNAPのNAS「TS-253D」について、同様の手順で、ドライブの交換による容量の拡張を試してみたい。
ドライブ交換の流れは前回のASUSTORとほぼ同じで、2つあるスロットからドライブを1本抜き、新しいドライブへと交換して再構築(リビルド)を実行する。終わったら、残りもう1本を交換して同じく再構築を行う。トレイはネジによる取り付けは不要で、左右からアジャスターをはめ込むだけで済むため、ドライブ交換の手間もかからない。
なお前回のASUSTORの場合、本来の手順に従わずにドライブを抜いた状態で起動し、その後は成り行き任せで作業を行ったが、本製品では設定画面の「ストレージ&スナップショット」の中に用意されている「ディスクを1台ずつ交換する」という正規の手順を用いて換装を行うことをお勧めする。理由は後述する。
ちなみに2本のドライブの再構築時間は、トータルで15時間程度だった。前回紹介したASUSTORのNASは約20時間かかったので若干短めだが、前回は8TBから10TBへの換装、今回は3TBから8TBへの換装と条件が異なるため、所要時間はおおむね同程度と考えてよいだろう。ただし本製品は残り時間の表示がかなりアバウトで、いつ終わるか予測しづらいのがマイナスだ(後述)。
さて、再構築が終わるのを待って、新しいドライブの容量をフルに利用できるよう、容量の拡張作業を行う。2本のドライブの再構築が終わった時点で、設定画面上の「容量の拡張」というボタンがアクティブになるので、それを押すだけだ。
ちなみにこの拡張作業自体は開始から終了まで11時間と、前回のASUSTORに比べておよそ2倍の時間がかかった。換装前(3TB)と換装後(8TB)の容量差があるぶん、時間がかかる格好だ。もっともボタンを押した後は何かをする必要はなく、放置しておけば済むので、手間自体が増えるわけではない。気長に待てばよいだけだ。
以上により、容量が増えた状態で新しいドライブが利用できるようになる。これらの作業においては、NAS本体の電源をオフにする必要はない他、作業中にデータにアクセスすることも可能だ。
続いて、QNAP製NASを使って気になったところをまとめた。
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