さて今回は、前回のASUSTORのようにドライブをいきなり抜くことなく、設定画面上で定められた手順に従って換装を行ったわけだが、それには理由がある。それは同製品の設定画面があまり分かりやすいと言えず、手順をきちんと把握しながらでないと、どこまで作業を進めたか分からなくなりかねないからだ。
本製品のドライブ交換は、設定画面の「ストレージ&スナップショット」から行うのだが、ほぼ一本道で操作を間違えようがないASUSTORやSynologyのNASと異なり、本製品は1つの画面内でできることが多すぎて、どう操作してよいか迷いがちになる。操作を誤らないためにも、きちんと把握しながら作業を進めた方が得策というわけだ。
また不親切に感じる表示も多い。例えば予想残り時間は、あと数時間と表示されていたのが、次の瞬間に100時間以上になったりと、変動が激しすぎて当てにならない。一般的にこういった予想残り時間は、直前何秒かのスループットから平均値を算出するが、対象の時間が短すぎるためか、ちょっとしたことで大きく変動する。作業時間の予想が立てられないのは非常に不便だ。
また設定画面のメニューや項目の名前もやや紛らわしい。例えば容量の拡張は「ディスクを1台ずつ交換する」の画面内にあるのだが、その上位階層にあたる画面でも「拡張」というボタンがあり、うっかりこちらだと勘違いしかねない。このように、不慣れなユーザーが勘違いしやすい箇所は複数散見される。
もう1つ、これもQNAPのNAS製品の特徴なのだが、とにかく警告音がけたたましい。このドライブの交換の作業中も、警告を意味するビープ音が何度も鳴るので、周囲に一言断っておかないと、何事が起こったのかと心配されかねない。今回のように、常に設定画面を表示していて、ステータスを把握できるのであれば、ビープ音は一時的にオフに設定してもいいかもしれない。
以上のように、ドライブ交換の手順そのものは一般的なのだが、UIがあまり親切とは言えないせいで、ASUSTORやSynologyの製品と比べると、何をしていいか迷うことが多い。RAIDに関する知識よりも、同社のUIにどれだけ慣れているかの方が重要で、初心者には少々ハードルが高い。機能自体は充実しているので、非常にもったいない印象だ。
次回はNASキットの活用編ということで、Web設定画面へのログインにおける2段階認証の設定を見ていく予定だ。
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