以上のように、Fireと一体化して運用でき、保護機能も備えたケースとしては一通りの要件は満たしているが、キーボード自体の実用性はお世辞にも高くないというのが、今回試した上での率直な感想だ。
こうした使い勝手に難があって高速入力が難しいキーボードは、かつてならば「メールなどの短文を打つなら支障はない」という表現が使えたのだが、今やメールはスマホで打てる時代なので、キーボードの利用価値は長文入力にあると考えてよい。そうした意味では、本製品がフィットするシーンは、筆者には思いつかないというのが正直なところだ。
その原因は、やはり使い勝手を考慮していないキー配列にあるだろう。例えばChromebookであれば、ここ1〜2年は国内で販売されているモデルは日本語JIS配列が主流になりつつあるし、iPad用のキーボードについても、以前はUS配列ばかりだったロジクールが、2021年からとうとう日本語JIS配列を取り扱うようになったほどだ。
今回のFire用のキーボードは、配列そのものに難がある上、それらをカバーできるほど、ソフトウェアの設定が柔軟というわけではない。日本語入力をするためのキーボードとしては、2週ほど周回遅れの印象だ。
もっとも、Fireで外付けのキーボードがきちんと動作することはなかなか新鮮ではある。組み合わせるキーボードとして本製品をチョイスするかはともかく、テキスト入力デバイスとしての運用自体は、将来性を感じさせる。今後、さまざまな方向で改善が進んでいけば、日本でもChromebookキラーとなる可能性はありそうだ。
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