続いてキーボードについて見ていこう。キーボードは日本向けにカスタマイズされており、カナの印字もあるが、実際の配置にはかなりクセがある。
というのも、本製品のキー配置は、US配列のキーボードをそのままに、キートップにカナを刻印したもので、Enterキーの形状はUSキーボードのままで、さらに一部のカナキーがEnterキーの上や、上下/左右キーの左などにはみ出してしまっているからだ。日本語キーボードとしては非常に特殊な配列だ。
中でも困りものなのが、数字キーが全体的に左にずれていることだ。そのため、本来ならば「P」の右上にあるはずの「-」が、本製品では「P」の左上に位置してしまっており、日本語入力の中で「ー」を入力しようとするとミスタイプが頻発する。
もし、これが他のOSと共有する汎用(はんよう)キーボードなら「まあ仕方ないか」で済ませられるが、専用品としては少々お粗末だ。キー自体は一定のストロークがあり、タイプ感自体は悪くないが、よほど使い込まないと慣れるのは難しいし、本製品以外のデバイスと併用することも考えると、本製品の配列に過度に慣れてしまうのもよくない。
他国語版ではどうなっているか気になったので、本家にあたる英語版、さらにドイツ語版をAmazonのサイト上で確認してみたが、キーの配列および数は全く同じで、キートップの刻印だけを変更しているようだ。
特に英語版は、上下/左右キーとスペースキーの間にある2つのキーが「alt」「ctrl」という、一般的なChromebookに準じた配列で、おおむね「Chromebook互換」と言って差し支えない配列になっている。強いて挙げれば左上にEscキーがないのが目立つくらいで、十分にChromebookキラーになりうる製品だ。
日本語版も、またドイツ語版もそうだが、このハードウェアに一切手を付けず、キートップの印字だけを変更した仕様になっている。おそらくカスタマイズのコストを最小限に抑える意図だろうが、実用性は完全に後回しだ。
ただし、US配列をベースにしていることから、キー幅はほぼ均等で、かつキーピッチは実測17.5mmと、この本体幅にしては余裕がある。本製品の横幅で日本語JIS配列を再現しようとすると、キー幅に無理が出ることは避けられず、事実今回の比較対象であるIdeaPad Duetも、Enterキー周辺のキーはおそろしく窮屈だ。しかし本製品はそれがなく、指の運びはしやすい。これについては、配列がおかしい問題とは切り離して考えるべきだろう。
もう1つ、Chromebookと大きく異なるのが、タッチパッドが搭載されていないことだ。FireはもともとAndroidベースのOSゆえ、Bluetoothマウスを利用できる。しかし本製品はこうしたマウスポインターを操作する機能を持たないので、必要に応じて本製品以外に別途Bluetoothマウスなどを用意するか、画面タップで操作しなくてはならない。
次に日本語入力をして気が付いたことをまとめる。
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