新型「Fire HD 10」の専用キーボードはどこまで使える? 人気のChromebook「IdeaPad Duet」と比べてみた(2/4 ページ)

» 2021年08月17日 12時00分 公開
[山口真弘ITmedia]
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キー配列は特殊で数字キーのズレも痛い

 続いてキーボードについて見ていこう。キーボードは日本向けにカスタマイズされており、カナの印字もあるが、実際の配置にはかなりクセがある。

 というのも、本製品のキー配置は、US配列のキーボードをそのままに、キートップにカナを刻印したもので、Enterキーの形状はUSキーボードのままで、さらに一部のカナキーがEnterキーの上や、上下/左右キーの左などにはみ出してしまっているからだ。日本語キーボードとしては非常に特殊な配列だ。

 中でも困りものなのが、数字キーが全体的に左にずれていることだ。そのため、本来ならば「P」の右上にあるはずの「-」が、本製品では「P」の左上に位置してしまっており、日本語入力の中で「ー」を入力しようとするとミスタイプが頻発する。

 もし、これが他のOSと共有する汎用(はんよう)キーボードなら「まあ仕方ないか」で済ませられるが、専用品としては少々お粗末だ。キー自体は一定のストロークがあり、タイプ感自体は悪くないが、よほど使い込まないと慣れるのは難しいし、本製品以外のデバイスと併用することも考えると、本製品の配列に過度に慣れてしまうのもよくない。

IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード キーボードにはカナの刻印もあるが、配列自体はUS配列のままだ
IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード 本来、左上にあるEscキーが存在しない(割り当てもない)。またQWERTYの列と直上の数字キーとの位置関係がおかしく、キー半分の幅ほど左にずれている
IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード Enterキーの形状からも分かるように、USキーがベースになっている。また「ろ」キーがスペースバーの右隣という、最下段に移動しているなど配置は特殊だ
IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード このIdeaPad Duetのキーボードのように、通常のキーボードでは「-」は「P」の右上にある
IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード 本製品では「-」は「P」の右上ではなく左上にあり、ミスタイプが頻発する。同様に数字キーもひとつずつ左にずれている
IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード キーのストローク自体はやや硬いもののそれほど問題はない

 他国語版ではどうなっているか気になったので、本家にあたる英語版、さらにドイツ語版をAmazonのサイト上で確認してみたが、キーの配列および数は全く同じで、キートップの刻印だけを変更しているようだ。

 特に英語版は、上下/左右キーとスペースキーの間にある2つのキーが「alt」「ctrl」という、一般的なChromebookに準じた配列で、おおむね「Chromebook互換」と言って差し支えない配列になっている。強いて挙げれば左上にEscキーがないのが目立つくらいで、十分にChromebookキラーになりうる製品だ。

 日本語版も、またドイツ語版もそうだが、このハードウェアに一切手を付けず、キートップの印字だけを変更した仕様になっている。おそらくカスタマイズのコストを最小限に抑える意図だろうが、実用性は完全に後回しだ。

IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード 本家である英語版のキー配置。Chromebookに準じている(画像はAmazon公式サイトより)
IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード こちらはドイツ語版。ハードウェアとしてのキー配列は英語版とも、また日本語版とも同じで、キートップの印字だけが変わっていることが分かる

 ただし、US配列をベースにしていることから、キー幅はほぼ均等で、かつキーピッチは実測17.5mmと、この本体幅にしては余裕がある。本製品の横幅で日本語JIS配列を再現しようとすると、キー幅に無理が出ることは避けられず、事実今回の比較対象であるIdeaPad Duetも、Enterキー周辺のキーはおそろしく窮屈だ。しかし本製品はそれがなく、指の運びはしやすい。これについては、配列がおかしい問題とは切り離して考えるべきだろう。

IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード IdeaPad Duetのキーボード。日本語入力に適したキー配置だが、いかんせん横幅に制限があるため、アルファベット以外のキーは全体的に横幅が詰められている
IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード 特にEnterキーは異常なほどスリムだ。ただし日本語JISに準拠しているため、キー同士の位置関係は崩れていない。Fireのキーボードとは設計思想が全く逆だ

 もう1つ、Chromebookと大きく異なるのが、タッチパッドが搭載されていないことだ。FireはもともとAndroidベースのOSゆえ、Bluetoothマウスを利用できる。しかし本製品はこうしたマウスポインターを操作する機能を持たないので、必要に応じて本製品以外に別途Bluetoothマウスなどを用意するか、画面タップで操作しなくてはならない。

IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード IdeaPad Duetはキーボード手前にタッチパッドを搭載しており、キー入力をしながらマウスポインターを動かせる
IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード 本製品はタッチパッドなどのポインティングデバイスを備えていない
IdeaPad Duet Fire HD10 キーボード ポインターを動かすためには別途マウスが必要になる

 次に日本語入力をして気が付いたことをまとめる。

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