では、もう一方の多機能ノートについて見ていこう。こちらは前述の無地ノートと異なり、描画や図、数式、フリースペースの挿入機能など、さまざまな機能が盛り込まれている。ノート名の通りの多機能ぶりだ。
さらに、書き込んだテキストをOCRで読み取ってテキストデータに変換する機能もある。日本語にもきちんと対応しており実用的だ。電子ノートの専用機にも負けない出来で、むしろノートの種類を分けるより、こちらに一本化した方が、ユーザーも迷わず使えてよいのではと感じる。
さて、こうしたE Ink電子ノートでは他社製品との差が出がちな、データの書き出しはどうだろうか。前述の無地ノート/多機能ノートともに、JPEGかPNG、もしくはPDFに変換しての保存となる(複数枚の場合はZIP圧縮される)。
これらは有線でPCに転送するか、もしくはDropboxを使ってクラウドにアップロードする。クラウドストレージの選択肢はもう少し欲しいのが本音だが、機能としては不足はなく、動作も安定している。本製品でノートを取ってDropboxに書き出し、必要に応じてスマホで参照したり、PCで加工したりするというルーティンもスムーズだ。
前述の多機能ノートでテキスト変換した文字は、テキスト(txt)またはWord、HTMLで書き出すこともできる。他のデバイスに移して再利用することを重視した設計で、ユーザーからすると使い方の幅が広がるのでありがたい。
ただし、この書き出し機能、細かい使い勝手にはまだまだ粗が目立つ。例えばファイル名が重複した場合の選択肢は「上書き」「キャンセル」の2択で、後ろに連番などを自動付与する機能がない。
さらに困るのは、その場でファイル名を手動変更する機能がないため、元ファイルを一旦閉じ、ファイル一覧から名前の変更を行うしかないことだ。新規作成時にファイル名を手動で付けなくてはいけないことと合わせて、著しく不親切だ。
また外部から取り込んだPDFを開くと、このノート機能で開かれるのではなく、電子書籍ビューアが起動してしまう。そのため、外部から取り込んだPDFは、基本的に表示することしかできない。電子書籍にスタイラスで書き込む機能もあるにはあるが、フォントサイズの変更によって位置がズレるなど、実用性は高くない。
さらにこの電子書籍ビューアでPDFを開いた場合、Acrobatで書き込んだ注釈類は一切表示されないので、校正用のデバイスとして利用するのも不可能だ。本製品で新規作成したノートをPDFとして外部に書き出すのは得意だが、取り込んで使うのは苦手という、性格的にかなりクセのある製品であることが分かる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.