2020年に発売されたソニー・インタラクティブ・エンタテインメント(SIE)の「PlayStation 5」や、日本マイクロソフトの「Xbox Series X|S」といった新世代ゲーム機は、ついにメインストレージデバイスがHDDからSSD(Solid State Drive)となり、より大容量のデータを高速に取り扱えるようになった。
しかも、SATA接続ではなくPCI Express接続のNVMe(Non-Volatile Memory Express)タイプのSSDが採用されることとなり、最新のPCシステムに追いつくこととなったワケである。
新世代ゲーム機のうち、Xbox Series X|Sの方は、増設SSDとしては、メモリーカードのような形状の専用周辺機器を提供する方式を採択した。増設の際には、この“SSDカード”を、Xbox本体側に実装された専用スロットに差し込んで使うことになる。ある種「ゲーム機らしい実装形態」といえる。
対して、PlayStation 5(以下、PS5)の方は、最新PCと全く同じ、NVMeタイプ(後述)のSSDスロットをマザーボード上に実装し、PC環境で使われているNVMeタイプのSSDをそのままのフォームファクターで採用した。
よって、増設の際には本体カバーを取り外して、マザーボード上のSSDスロットにアクセスする必要がある。専用周辺機器ではなく、汎用(はんよう)パーツが利用できるため選択の自由度は高いが、その代わり、増設手法としてはややマニアックなスタイルとなっている。
PS5の発売以来、長らく、この増設スロットに関しては「将来、有効化予定」という状態が続いていたが、この9月にSSDスロットの活用が解禁となった。おそらく、多くのPS5ユーザーが、この増設スロットを埋めたくてウズウズしていたはずだ。
そのようなわけで、本稿ではこのPS5の増設SSDスロットにSSDを増設する手順などを紹介したいと思う。
結論から言うと、PS5に適合するSSDを選択する際、最も簡単なのは、ある程度名の知れた周辺機器メーカー製の製品で「PS5増設スロット対応」などの触れ込みが書かれている製品を選ぶのが一番安心でトラブルが少ないことだろう。
逆に「コストパフォーマンスがよいPC向けの汎用品を使いたい」という場合は、慎重に製品を選ぶ必要がある。
さて、PS4時代に内蔵HDDをSSDに換装して以来、SSDと疎遠になっていたゲームファンの中には、SSDと聞くと2.5インチサイズのHDDによく似た箱型の製品を連想する人もいるかもしれない。しかし、PS5が要求するSSDは「M.2」型と呼ばれる、見た目にはガムのような、長細い基板形状のSSDになる。
実際、PS5の増設SSDスロットは、このM.2スロットなのだ。
ただ、このM.2型のSSDだが、一般ユーザー向けにリリースされている製品としては2つのタイプがある。
1つはNVMeタイプ、もう1つはSATAタイプだ。
PS5には、前者のNVMeが適合する。製品によっては「PCI Express接続対応」というような記述の場合があるかもしれない。あるいは「Key Mタイプ」(M Keyと逆順に書いてある場合もあり)という記述になっていることもあるだろう。
うっかりやってしまってはいけないのが、後者の「SATA接続のSSD」を選んでしまうことだ。「PS5にはM.2スロット対応のSSDが適応するらしい」という情報だけで製品を選んでしまうと、見栄えこそNVMe接続タイプとパッと見変わらないが、SATA接続タイプは接続端子の形状が違っているため(下図参照)、NVMe接続を要求するPS5に挿すことができない。
NVMeタイプのSSDは、端子形状としては上図の「KEY M」端子になっており、一方で、SATAタイプは「KEY B&M」が多い。以前はSATA接続対応タイプとして「KEY B」もあったが、現在流通しているSATA接続タイプは「KEY B&M」が圧倒的に多い。
PS5の増設SSDとして使おうとする場合、NVMeタイプのSSDならば、どれでもいいわけではない。NVMeタイプのSSDは、データ伝送の際に「PCI Express」というバスインタフェースを利用するのだが、PS5では、最新PCと同世代のPCI Express Gen 4(第4世代の意。以下、PCIe 4.0)伝送に対応したSSDを要求してくる。
PCIe 4.0対応のNVMeタイプのSSDはまだ市場に出回ってから2年強といったところで、まだまだ新しい存在だ。価格が熟れたPCI Express Gen 3(PCIe 3.0)接続対応タイプを間違えて購入しないようにしたい。
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