本製品は、サブスクリプションサービス「Nest Aware」を通じてカメラの映像を記録し、後から履歴として参照できるなど、同時にリリースされたネットワークカメラのGoogle Nest Camとよく似た性格を持つが、用途が全く異なる製品ゆえ、使い比べるとその違いに気付かされる。ざっとまとめておこう。
最大の違いは、ユーザーの行動を検出しても通知するだけのGoogle Nest Camに対して、本製品はドアベルのボタンが押されることによって、それらをポップアップで表示するなど、ユーザー側の行動がトリガーになりうることだ。Google Nest Camの映像をスマホアプリやGoogle Nest Hubで表示するには、通知を受けてからタップして開く必要がある。
つまりワンクッションあるかないかが大きな違いで、これによって一般的な家庭向けのTVドアホンと似た、即時性を実現しているわけだ。
ちなみに検出機能において、ドアベルにだけ存在するのが、荷物回りの検出機能だ。地面に置かれた四角い物体を「パッケージ」として認識し、置き配で荷物が置かれたことを検知して知らせてくれたり、集荷などで持ち去られたことを通知したりしてくれる。これなどは、ドアベルという製品だからこそ役に立つ機能だ。
以上のように、本製品は玄関への取り付けにさえ対応していれば、TVドアホンを超えた製品として、これまでにない便利な運用が可能になる。現状、映像で訪問者を確認できるインターフォンが自宅になく、新規に追加することを考えているのであれば、本製品は格好の存在といえるだろう。
実際に使ってみて実感するのは、基本的には「Google Nest Hubとの組み合わせて使うことが大前提の製品である」ということだ。スマホアプリとの組み合わせだけでももちろん使えるのだが、ネットワーク上にGoogle Homeアプリをインストールしたスマホが複数あると挙動が読みにくいし、他の用途で使っていて通知に気づかないこともある。
その点、Google Nest Hubがあれば、サイレントモードにさえなっていなければ、訪問者がボタンを押せば、応対するための画面がすぐに立ち上がる。据え置きで設置されているので、スマホのように家族の誰かが持ち出していて応答できるデバイスがないといったこともない。これまでのドアホンと同じ感覚で利用可能だ。
理想的なのは、メインの応対がGoogle Nest Hub、サブおよび外出先での対応のみスマホアプリを使うという布陣だろう。睡眠モニター機能がついた第2世代のGoogle Nest Hubであれば、枕元から訪問者の応対が可能になるし、必要に応じてリビングにもう1台追加して家族で共有するといった具合に、台数を増やしていける。
こうした中で、本製品で焦点となるのは、自宅の玄関や門柱などにきちんと取り付けられるかという、設置性がまず1つある。もう1つは、本製品を見た訪問者がドアベルであるときちんと認識して、ボタンを押してくれるかどうかだろう。
本製品は、日本国内で流通している一般的なTVドアホンとは全く異なるデザインゆえ、気づかないとスルーされる恐れがある。訪問者が接近するとカメラ直下のLEDが緑に点灯したり、ボタンが白く点滅してその存在をアピールしたりする機能はあるが、むしろチカチカ光っていることで、訪問者が触れるのを敬遠する可能性もなくはない。
まだ製品が普及しておらず、このような製品があることが認知されていない現状では、この点だけはどうしても未知数と言わざるを得ない。自宅を訪問する人に本製品に慣れてもらう必要は、少なからずあると言えそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.