インタビュー
» 2021年11月18日 12時00分 公開

「サイバーパンク2077」出演の日本人アーティストがリモートコラボを実現した理由(1/2 ページ)

ポーランドのCD Project Redが開発した近未来のアクションRPG「サイバーパンク2077」。そのサウンドトラックに参加した日本人アーティストに、リモートでのコラボレーションが実現したいきさつを伺った。

[i4U]

 2020年12月に発売された近未来SFゲーム「サイバーパンク2077」。同作はポーランドのゲーム開発会社のCD PROJEKT REDが開発したサイバーパンクの世界観を元に、オープンワールド型のアクションロールプレイングゲームとして、世界的にも人気のゲームタイトルだ。

サイバーパンク2027 i4U PlayStation4やXbox One、PC用にリリースされた「サイバーパンク2077」
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この記事は、オウンドメディア「i4U」(あいふぉーゆー)からの転載です。

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 その反響はすさまじく、CD PROJEKT REDの発表によると、発売からわずか10日間で1300万本(ダウンロード販売含む)を売り上げ、なんと販売総額は7億8000万ドル(約807億円)。近年のゲーム業界においても記録的な大ヒット作品になっている。

 そんな超人気ゲームタイトルのサントラには、起業家イーロン・マスク氏のパートナーで、最近はNFT(アートや音楽、トレーディングカードなどの取引に使われる独自のデジタルトークン)によるデジタルコレクションを創設したことでも注目を集めたグライムス(Grimes)を筆頭に、安室奈美恵やマドンナの楽曲も手がけたソフィー(SOPHIE)など、世界的アーティストが多数参加した。ゲームファン、音楽ファンの両方で話題になったことも記憶に新しい。

 このサントラには、そんなきらびやかな音楽界の世界的スターたちとともに、実は日本のアーティストが参加していた。サントラに収録されている、一見するとサイバーパンクとはかけ離れた印象の「PONPON SHIT」という楽曲を提供したのは、渋谷を拠点に活動する芸術家アイドルグループ・ナマコプリだ。

 作中では、アイドルグループ"US CRACKS(アスクラックス)"のキャラクターが歌うPONPON SHITだが、ロリータライクな声で歌われる"あなたと毎日ponponさせてね"、"私はあなたのponponちゃんなの"など、意味不明ながらもどこか隠喩的でもある独特の日本語詞が印象的だ。「一度聞くと頭から離れない」、「中毒性がハンパない」と国内外で大きなバズを起こし、サントラ収録曲の中でも屈指の有名曲になった。

 世界的アーティストたちとともに、なぜ日本のローカルアーティストが超人気ゲーム作品のサントラに参加することができたのだろうか。

Eメールで突然届いた楽曲提供オファー

 サントラ参加の経緯について、楽曲のプロデュースを手がけた作詞家/DJ/プロデューサーのカワムラユキ氏と、ナマコプリのマコ・プリンシパル氏に話を聞いてみたところ、返ってきたのは意外な答えだった。

サイバーパンク2027 i4U マコ・プリンシパル氏(左)& カワムラユキ氏(右)at しぶや花魁(著者撮影)

 オファーがあったのは、今から2年ほど前だという。CD PROJEKT REDの担当者から、直接メールで楽曲提供を依頼されたことがサントラ参加のきっかけになった。

 「主催する音楽レーベル「OIRAN MUSIC」のホームページにある連絡先に、メールで突然、ゲームのイメージに合った曲を作って提供して欲しいという依頼がありました。それで曲を作って提出したのですが、半年くらいなんの音沙汰もなくすっかり忘れていたところに、今度は曲が採用されたという連絡がありました」(カワムラ氏)

 予想以上に淡白なやりとりだったことに驚いたが、本人たちは特にゲームに詳しいわけではなかったので、逆に気負うことなく楽曲制作に取り組めたと語る。ただ、カワムラ氏とマコ・プリンシパル氏は、楽曲のコンセプトに関しては細かいメーカー側からの指定があったことも明かす。

 「とはいえ、向こうも私たちの音楽性を理解しての依頼だったので、そこはお互い了承の上で、作中世界で活躍する日本人3人組アイドルユニット“US CRACKS”を想定した楽曲を制作しました」(マコ氏)

サイバーパンク2027 i4U マコ・プリンシパル氏(著者撮影)

 しかし、それでもその求められたコンセプトにいかに沿った楽曲を作るかには苦戦した。通常、アーティストの音楽制作の現場では楽曲の音質だったり、完成度だったり、あらゆることにクオリティーの高さが求められる。だが今回、制作会社がUS CRACKSの楽曲として求めたのは「作中に登場するロックスターが、"音楽に対する真剣味が感じられないと怒りを露わにする"ようなもの」だった。

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