テレワーク時の情報漏えいリスクといえば、セキュリティの甘いPCや通信に不正アクセスされてしまうなど、ネットワークに絡んだものが多い。コロナ禍がだいぶ落ち着いてきた今は、オフィスと自宅の行き来が復活し、仕事で使っているノートPCを電車の棚に置き忘れてしまったり、データを入れている外付けストレージを落としてしまったりといった昔ながらの要因で事故が増えることも予想される。
そういった事態を防ぐには、社内のIT部門による厳しい締め付けや外部ストレージの利用禁止が手っ取り早いが、何より不便さが増えるし、自宅でのテレワークがニューノーマル時代の働き方として認識されるようになった現在では現実的ではない。
そこで有効なのが、強固なセキュリティ機能を持った外付けストレージだ。今回、「これなら確実だわー」と実感せざるを得ないウエスタンデジタルの外付けストレージ「G-DRIVE ArmorLock SSD」(以下、ArmorLock)を試用する機会を得たので、レビューしていく。
ここでは1TBのモデルを使ったが、他にも2TBと4TBのモデルが用意されている。いずれも家電量販店での受注生産(一部のモデルはAmazonなどでも買える)で、保証期間は5年間となる。
まずパッケージからSSDを取り出して最初に感じたのは、「デカッ」と思わず声に出してしまったボディーの大きさだ。それもそのはず、これまで複数のポータブルSSDを使ってきたが、どれも手のひらよりも小さいコンパクトなサイズで、女性向けパンツの前ポケットにも入りそうなものだったのだが、このArmorLockは指の長さまで含んだ形での手のひらサイズで、まさに円盤の入っているストレージ(3インチHDD)並みの大きさなのだ。
もちろん、このサイズになったのには理由がある。失敗が許されない映像やカメラマンといったプロ向けのストレージとして展開していた製品が、2021年にSanDisk Professionalブランドに再編され、このArmorLockもその一員となっている。
そのため、最大3メートルからの落下に耐えるだけでなく、1000ポンド(約453kg)の耐衝撃性を備えている。さらに、IP67(粉じんが内部に侵入せず、15cm〜1mの水深で30分間に水中に沈めても水が浸入しない)という高いグレードでの防じん防水性能も備える。雨の降る日に、背負っていたバックパックから落としてしまっても、保存してあるデータが消失することはなさそうだ。
物理的に頑丈なのは分かったが、万が一「落としてしまった」後に、誰かに拾われた場合でも、データは安全なのだろうか。
ArmorLockは、256bit AES-XTS形式のハードウェア暗号化に対応している。XTSとは、ブロック暗号利用モードの一種であり、ブロック分割されたデータに対して2つの鍵を用て暗号化と復号を行うため、AES-256bitと組み合わせることで、非常に高いセキュリティ機能を発揮する暗号化技術である。
しかも鍵管理は、処理速度が速いといわれているNIST P-256楕円曲線ベースの暗号を用いている。そのおかげで、強力にデータを保護しつつ、スピードにも妥協しない外付けストレージとなっているのだ。
暗号化をユーザー任せにしないところも、セキュリティ機能を高める要因となっている。なんと、専用アプリをインストールしたスマートフォンで初期設定をしないと使えず、PCなどの端末に接続するたびに、初期設定をした(あるいは、ユーザーとして承認済みの)スマートフォンからロック解除の必要があるのだ。
加えて、スマートフォンのGPS機能を使った位置情報へのアクセス許可が必須となっており、データにアクセスした最終地点が記録される。安全性を高める二重三重の工夫が凝らされているわけだ。
これなら、「パスワード設定とか面倒くさ〜い」と言いがちな私のようなズボラ人間でも、確実に暗号化(つまり、パスワード設定)することになる。安全なことこの上ない。
また、接続のたびにスマホを開くのが面倒くさい、という私のようなズボ(以下略)でも、ある仕組みを利用すれば、その面倒くささを回避しつつ、セキュリティ機能も担保できる。実際に、使ってみよう。
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