米NVIDIAは1月4日(現地時間)、米ラスベガスで開催中のCES 2022の特別講演で3次元仮想空間再現ソフトウェア「NVIDIA Omniverse」を一般ユーザーに無料で提供すると発表した。
Omniverseを利用するには、「GeForce RTXシリーズ」あるいは「NVIDIA RTXシリーズ」のGPUと、NVIDIAが提供する「Studio」ドライバが必要になる。これまで同社はOmniverseを一般ユーザー向けにβ版として提供してきた他、2021年11月からは企業向けに「Omniverse Enterprise」を有償で提供してきた。
Omniverseは、「Autodesk 3DS MAX」や「Autodesk MAYA」などの3次元コンピュータグラフィックス作成ソフトウェアで作った3Dモデルを仮想空間に配置し、光の反射や重力などの物理的効果を再現するプラットフォームで、インターネットでつながった他のユーザーと同時に共同で作業することもできる。Omniverseに設置する3Dモデルは、米Pixar Animation Studiosが開発した「Universal Scene Description(USD)」というフォーマットで記述する必要がある。
NVIDIAは今回の一般公開開始に合わせて、「TurboSquid by Shutterstock」「CGTrader」「Sketchfab」「Twinbru」といった、3Dモデル素材を提供するサイトからダウンロードしたモデルをOmniverseで使えるようにした。
また、Omniverse内でゲームのようなアニメーションを作成するソフトウェアである「Omniverse Machinima」では、「Mechwarrior 5」「Shadow Warrior 3」「Mount & Blade II: Bannerlord」「Squad」といった人気ゲームに登場する3Dモデルを使えるようにもしたという。
さらに、音声に合わせてしゃべる顔の3Dアニメーションを作成するソフトウェアである「Omniverse Audio2Face」では、ブレンドシェイプというアニメーション技法に対応し、作成したアニメーションをEpic Gamesの「MetaHuman」というサービスで使用できる形で出力できるようにした。MetaHumanで作成したアニメーションはゲームエンジン「Unreal Engine」で使用できる。
NVIDIAは今回の講演で、新しいデスクトップ向けGPUも発表した。ハイエンド製品となる「GeForce RTX 3090 Ti」、ローエンドの「GeForce RTX 3050」だ。
3090 Tiは、24GBのGDDR6Xメモリを搭載し、メモリ転送速度は毎秒21Gビットに達する。シェーダーの性能は40TFLOPS、レイトレーシングの性能は78TFLOPS、AIの性能は320TFLOPSにもなる。発売時期などの詳細は、1月末に発表するとしている。3050は8GBのGDDR6メモリを搭載し、価格は249ドル(約2万9000円)から。搭載グラフィックスカードは1月27日から出荷開始となる予定だ。
さらに、ノートPC向け製品のGPUも発表した。ハイエンド製品となる「GeForce RTX 3080 Ti」と「GeForce RTX 3070 Ti」だ。「デスクトップ用のTITAN RTXよりも高性能」だという。
3080 Tiは16GBのGDDR6メモリを搭載し、1440pの解像度で120FPS以上の性能を発揮する。搭載ノートPCの価格は2499ドル(約29万円)からの見込み。
3070 Tiは、NVIDIAによるとRTX 2070 SUPERに比べて1.7倍高性能だという。具体的には1440pの解像度で100FPSの性能を発揮する。搭載ノートPCは1499ドル(約17万4000円)からだ。3080 Tiと3070 Tiともに、搭載ノートPCは2月1日から販売が始まる予定だ。
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