M1 Ultraを採用したMac Studioだが、M1 Maxの構成も選択できる。M1 Max搭載モデルの最小構成は、10コアCPU、24コアGPU、16コアNeural Engine、32GBユニファイドメモリ、512GB SSDといった仕様で24万9800円だ。
M1 Ultra搭載モデルの最小構成は、20コアCPU、48コアGPU、32コアNeural Engine、64GBユニファイドメモリ、1TB SSDといった仕様で49万9800円となる。GPUは64コア(+11万円)、メモリは128GB(+8万8000円)の構成も選択可能だ。
SoC単体でみた場合、24コアGPUのM1 Maxと48コアGPUのM1 Ultraは価格差は18万4000円に設定されているが、M1 Ultra搭載モデルには放熱能力が高い銅製ヒートシンクを持つ冷却システムが採用されており、必ずしも純粋なSoCの価格の違いではない点は考慮せねばならない。
SoC単体の性能が高いだけでは、ここまでの価格差は許容できないと考えるユーザーは少なくないだろう。一方で、SoCの違いにこれだけの価格差を許容できるどころか、いやむしろパフォーマンスの向上を考えれば安価ではないかと、考える向きもある。Mac Studioという最終製品でみた場合、パフォーマンスと電力効率の高さに対して対価を支払うユーザー層は確実にいるのだ。
つまり、最終製品であるMac Studioというアウトプット先があるからこそ、AppleはM1 Ultraという極端にパフォーマンスに振ったチップを開発できたといえる。
Mac Studioの評価できる実機を入手次第確認していきたいが、M1 UltraのCPUパフォーマンスは共有メモリアーキテクチャの恩恵もあり、業界トップクラスだったM1 Pro・M1 Maxに対するコア数増分に見合う性能向上が期待できる。消費電力に関しても、動作条件にも依存するが最大でも60Wに満たないレベルだ。
GPUパフォーマンスはごく一部のハイエンドGPUには及ばないものの、それに近いトップクラスの実力を極めて低い消費電力でたたき出す。Appleによると、Core i9-12900KとGeForce RTX 3090を搭載するPCと比較して、200W低い消費電力でそれより高いGPUパフォーマンスを発揮できるという。
そして忘れてはならないのは、Neural Engineの能力も2倍になり、一般的なPC向けSoCにはない映像処理や音響処理の回路まで備わっていることだ。
さらに言及するなら、かなり高コストで歩留まりも低いのではないかと想像されるUltraFusionによるパッケージングだが、M1 Ultraを必要とする顧客は限られている。その点、M1 Ultraは「組み立て工程」でM1 Maxとの作り分けを、生産する最終製品の注文、在庫状況に応じてコントロールできる。
SoCの開発から最終製品までを一貫して提供するAppleの立ち位置ならではの企画といえるだろう。
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