「M1 Ultra」という唯一無二の超高性能チップをAppleが生み出せた理由:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/5 ページ)

» 2022年03月13日 12時30分 公開
[本田雅一,ITmedia]

Mac Studioがあるからこそ生み出せたM1 Ultra

 M1 Ultraを採用したMac Studioだが、M1 Maxの構成も選択できる。M1 Max搭載モデルの最小構成は、10コアCPU、24コアGPU、16コアNeural Engine、32GBユニファイドメモリ、512GB SSDといった仕様で24万9800円だ。

 M1 Ultra搭載モデルの最小構成は、20コアCPU、48コアGPU、32コアNeural Engine、64GBユニファイドメモリ、1TB SSDといった仕様で49万9800円となる。GPUは64コア(+11万円)、メモリは128GB(+8万8000円)の構成も選択可能だ。

 SoC単体でみた場合、24コアGPUのM1 Maxと48コアGPUのM1 Ultraは価格差は18万4000円に設定されているが、M1 Ultra搭載モデルには放熱能力が高い銅製ヒートシンクを持つ冷却システムが採用されており、必ずしも純粋なSoCの価格の違いではない点は考慮せねばならない。

M1 Ultra 24コアGPUのM1 Maxと48コアGPUのM1 Ultraは価格差は18万4000円(Appleの販売ページより)

 SoC単体の性能が高いだけでは、ここまでの価格差は許容できないと考えるユーザーは少なくないだろう。一方で、SoCの違いにこれだけの価格差を許容できるどころか、いやむしろパフォーマンスの向上を考えれば安価ではないかと、考える向きもある。Mac Studioという最終製品でみた場合、パフォーマンスと電力効率の高さに対して対価を支払うユーザー層は確実にいるのだ。

 つまり、最終製品であるMac Studioというアウトプット先があるからこそ、AppleはM1 Ultraという極端にパフォーマンスに振ったチップを開発できたといえる。

 Mac Studioの評価できる実機を入手次第確認していきたいが、M1 UltraのCPUパフォーマンスは共有メモリアーキテクチャの恩恵もあり、業界トップクラスだったM1 Pro・M1 Maxに対するコア数増分に見合う性能向上が期待できる。消費電力に関しても、動作条件にも依存するが最大でも60Wに満たないレベルだ。

M1 Ultra Core i5-12600Kを搭載したPCとの比較。M1 Ultraは65%低い消費電力で同等のCPUパフォーマンスを発揮できるという(発表会の配信動画より)
M1 Ultra Core i9-12900Kを搭載したPCとの比較。M1 Ultraは同じ消費電力(60W)では90%高いCPUパフォーマンスを発揮できるという(発表会の配信動画より)
M1 Ultra 同じくCore i9-12900Kを搭載したPCとの比較。M1 UltraはCore i9-12900Kのピーク性能を100W低い消費電力で実現できるという(発表会の配信動画より)

 GPUパフォーマンスはごく一部のハイエンドGPUには及ばないものの、それに近いトップクラスの実力を極めて低い消費電力でたたき出す。Appleによると、Core i9-12900KとGeForce RTX 3090を搭載するPCと比較して、200W低い消費電力でそれより高いGPUパフォーマンスを発揮できるという。

M1 Ultra Core i9-12900K+GeForce RTX 3060 Tiを搭載したPCとの比較。M1 Ultraは3分の1の消費電力で最大のGPUパフォーマンスを発揮できるという(発表会の配信動画より)
M1 Ultra 同じくCore i9-12900K+GeForce RTX 3060 Tiを搭載したPCとの比較。M1 Ultraは200W低い消費電力でそれより高いGPUパフォーマンスを発揮できるという(発表会の配信動画より)

 そして忘れてはならないのは、Neural Engineの能力も2倍になり、一般的なPC向けSoCにはない映像処理や音響処理の回路まで備わっていることだ。

 さらに言及するなら、かなり高コストで歩留まりも低いのではないかと想像されるUltraFusionによるパッケージングだが、M1 Ultraを必要とする顧客は限られている。その点、M1 Ultraは「組み立て工程」でM1 Maxとの作り分けを、生産する最終製品の注文、在庫状況に応じてコントロールできる。

 SoCの開発から最終製品までを一貫して提供するAppleの立ち位置ならではの企画といえるだろう。

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