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思わず“悔しい”と声が出る――旧モデルユーザー視点の「LAVIE NEXTREME Carbon」レビュー(1/2 ページ)

» 2022年03月17日 13時30分 公開
[渡辺まりかITmedia]

 NECパーソナルコンピュータ(NECPC)が2月10日、LAVIEブランドの新しいノートPCを発売した。「LAVIE NEXTREME Carbon」(以下「NEXTREME Carbon」)である。

 筆者は2019年7月、「LAVIE Pro Mobile」(「Pro Mobile」)を購入した。ITmedia PC USERにもレビュー記事を寄稿しているが、その軽さに驚いたし、“Pro”の名を冠するにふさわしい上位機種であったと思う。

 NEXTREME Carbonは、Pro Mobileの後継シリーズだという。そして「LAVIE NEXTREME」ブランドはLAVIEブランドの上位に位置し、「スタイリッシュ」で「イノベーティブ」で「オーセンティック」で「WOW!」な存在だという。軽さに驚いてうっかりPro Mobileを買ってしまった身として、これは静観しているわけにはいかない。

 というわけで、筆者は今回、NEXTREME Carbonをレビューする機会を得た。旧世代モデルのユーザーとしての目線を交えつつ、新世代のあれこれをチェックしていこう。

LAVIE NEXTREME Carbon 今回レビューするLAVIE NEXTREME Carbonは、最上位モデルのペールゴールド(XC950/DAG)である

Pro Mobileより「スタイリッシュ」で「イノベーティブ」

 今回レビューするのは、NEXTREME Carbonの量販店向け最上位モデルである「XC950/DAG」だ。税込み想定販売価格は28万280円程度となっている。

 NEXTREME Carbonの天板と底面には、人工衛星やF1マシンにも使われている、最高品質の炭素繊維をベースとするカーボン素材を使っているという(Carbonという名はそのことに由来する)。カーボン素材は軽量でしなやかさを備えつつ、高い剛性を備えている。

 NECPCによると、NEXTREME Carbonは米国防総省における最新の物資調達規格「MIL-STD-810H」に準拠した耐衝撃性能と耐環境性能を備えているという(計8項目で準拠)。ノートPCでありがちな机などからの落下という観点に立つと、NEXTREME Carbonは「122cmの高さから、水平にした状態だけでなく、それぞれの角を下にした状態で落下させる」という試練に耐える性能を確保していることになる。

 「ノートPCを机から落とすなんて……」と思う人もいるかもしれないが、実際には意外とありがちな事故の1つだったりする。だからこそ、“落下しても壊れない耐性”の確保は重要。その点で、NEXTREME Carbonは安心な1台といえる(無故障を保証するものではないことも心に留めておきたい)。

背面 天板(写真)や底面にはカーボン素材を用いている

より打ちやすくなったキーボード

 キーボードはテンキーなしの日本語配列で、キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.5mmとなっている。Pro Mobileではキーピッチが約18.5mm、キーストロークが約1.2mmだったことを考えると、より打ち心地の良いキーボードになったことが伺える。

 さらに、NEXTREME Carbonのキーボードでは、キートップに「シリンドリカル(へこみ)加工」を施している。「キートップをへこませてどうするの?」と思うかもしれないが、適度にへこませたキートップは誤入力を減らしてくれる。実際に打ち比べてみると、NEXTREME Carbonのキーボードはさらに良くなっていることが良く分かる。

 なお、今回レビューしているモデルのキーボードにはLEDバックライトも搭載されている。薄暗い場所でタイピングをする際も便利だ。

キーボード回り キーボード回りの様子。ボディーの幅ギリギリまでキーボードが占めている。XC950/DAGのキーボードはLEDバックライトも備えている
キーピッチ キーピッチの実測。約19mmと広めだ
シリンドリカル加工 写真では分かりづらいかもしれないが、キートップにはへこみがある。これによりキータイプのミスが減らせる

見やすくて便利な16:10ディスプレイ

 ディスプレイは、14型のIPS液晶だ。最大解像度は1920×1200ピクセルで、アスペクト比は16:10となる。Pro Mobileと比べると、画面の対角サイズは0.7インチ大きくなり、解像度は縦方向に120ピクセル増している。表示色は約最大1677万色であることと、180度開けるヒンジを備えていることは従来通りだ。

 最近のノートPCでは、縦方向の解像度を増すことで画面の一覧性を高めることで利便性を向上する観点からディスプレイのアスペクト比を16:10にする動きが盛んだ。NEXTREME Carbonは、そのトレンドにキャッチアップしたともいえる。

 画面の対角サイズが増したということで「ボディーサイズも増したのでは?」と思うかもしれないが、以下の通りサイズアップは極小である。Pro Mobileと同じ感覚で持ち運べる。

ディスプレイ ディスプレイは14型IPS液晶で、アスペクト比は16:10となった
Pro Mobile 左上の角でそろえて上にPro Mobile、下にNEXTREME Carbonを重ねてみる。この写真の角度では「あれ、結構大きくなった?」という印象を持つかもしれないが、真上から見るとほとんど差は分からない

Web会議で重宝する「フルHDカメラ」

 ディスプレイの上部には、シャッター付きのWebカメラを備える。有効画素数は約200万画素で、フルHD(1920×1080ピクセル)撮影にも対応する。赤外線撮影ユニットも統合しており、Windows Helloの顔認証にも使える。

 最近は「Web会議における画質の良さ」へのニーズも高まっていて、高画素のWebカメラを搭載するノートPCの選択肢も増加傾向にある。先ほどのディスプレイもそうだが、この点でもNEXTREME Carbonは昨今のトレンドをしっかりとつかんだ仕様となっている。

 なお、NEXTREME Carbonの量販店モデルでは、Pro Mobileで搭載されていた指紋認証が非搭載となっている。「指紋認証が欲しい!」という人は、NECPCの直販サイトで購入できるカスタマイズ(CTO)モデル「LAVIE Direct NEXTREME Carbon」には標準搭載されるので、ぜひ検討してみてほしい。

カメラ回り シャッターを搭載したWebカメラ。物理的なシャッターを備えることは、セキュリティの観点からすごく安心感がある

充実したポート類

 ポート類は、左側面にケンジントンロックの他、Thunderbolt 4(USB 4)端子×2とmicroSDメモリーカードスロットを搭載し、右側面にはUSB 3.2 Gen 2(USB 3.1) Type-A端子、HDMI出力端子、イヤフォン/マイクコンボジャックを備えている。

 Thunderbolt 4端子は、USB PD(Power Delivery)による電源入力とDisplayPort Alternate Modeによる映像出力にも対応する。より高速なデータ通信に対応するThunderbolt 4端子を搭載することは、拡張性の面でとても心強い。

左側面 左側面
右側面 右側面

ハイパフォーマンスCPU×長時間のバッテリー持ち

 NEXTREME Carbonの“中身”もチェックしていこう。

 CPUは第11世代Coreプロセッサ(開発コード名:Tiger Lake)を採用しており、XC950/DAGには「Uプロセッサ」としては最上位のCore i7-1195G7(2.9GHz〜5GHz、4コア8スレッド)を搭載している。メインメモリはLPDDR4X規格で、XC950/DAGは16GB(8GB×2)を備えている。内蔵ストレージは、PCI Express接続のSSDで、XC950/DAGは512GBのモジュールを搭載している。これならどんな作業でも素早くこなせそうだ。

 モバイルノートPCの“要”ともいえるバッテリーは、量販店モデルでは全て大容量の「Lバッテリー」を標準搭載している。公称の連続稼働時間は最大24時間(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver.2.0)で、充電にかかる時間は、電源が入った状態で約2.5時間、切れた状態で約2.4時間(いずれも付属のACアダプターを使った場合)となっている。2時間半ほど休息して、あとはずっと働いていてもいいということになる。スペックアップで作業効率が上がるので、そこまでする必要はないと思いたいが……。

ACアダプター ACアダプターは65W出力のものが付属する。65W出力でもコンパクトなので持ち運びは苦にならないだろうが、バッテリー持ちが良いので1日程度の外出なら持ち歩かなくても何とかなるだろう
底面 底面には熱を排気するためのスリットがある。ファンの音は、Pro Mobileより小さくなって快適だ

最上位モデルはLTE対応 CTOモデルなら5G対応も

 今回レビューするXC950/DAGは、LTE(4G)/W-CDMA(3G)に対応するモバイル通信機能を標準搭載している。nano SIMスロットの他、「eSIM」も内蔵しているので、オンラインで契約したeSIMをそのまま書き込んで使うことも可能だ(※1)。nano SIMとeSIMの“デュアルSIM運用”も可能なので、状況に応じて通信に使うSIMカードを切り替えるという使い方も容易である(※2)。

 「いつでもどこでも通信できる」というモバイル通信の快適さは、一度使うとやみつきになることは間違いない。このモデルを購入した場合は、ぜひとも試してもらいたい。

 なお、CTOモデルではSub-6帯の5G通信に対応するオプションも用意されている。5Gエリアで使うことが多いという人は、選択肢の1つとして心に留めておくと良いだろう。

(※1)全キャリアのeSIMの動作を保証するものではありません
(※2)一度に有効にできるのはnano SIMかeSIMのどちらか片方のみです

nano SIMスロット LTE/W-CDMA通信に対応するXC950/DAGには、右側のヒンジ付近にピンで取り外すタイプのnano SIMカードスロットが搭載されている。これとは別にeSIMも内蔵されている
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