LOOXブランドのPDAがあったことを覚えていれば、新たに登場するFMV LOOXがタブレットPCであっても「なるほど、そういう方向性もアリなのか」と思えるだろう。
しかし、LOOXブランドのメインストリームはキーボードとポインティングデバイスを備えるモバイルPCだった。その印象が強いと「え、LOOXなのにタブレットPCなの?」と思ってしまうはずだ。冒頭で触れた「これは本当に“LOOX”と名乗ってもいいのか?」という疑問につながる感覚といえる。
FMV LOOXは、少なくない人が抱く「LOOX像」と異なることは否めない。それでもあえてLOOXブランドを冠したのはなぜなのだろうか。
FMV LOOXの発表に当たって、FCCLが報道関係者に提供した富士通PCの年表。LOOXの系譜が別途示されているが、LOOXブランドのPDAを認知しているかどうかで今回のFMV LOOXに対する印象が大きく変わると思う(クリックで拡大)察しの通り、LOOXというブランド名は英語の「look」という単語に由来している。この名前には、情報に「いつ」「どこからでも」「簡単に」アクセスできるという意味も込めたという。働き方改革が進み、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でライフスタイルにも変化が出てきている昨今において、LOOXブランドの理念を体現するのに最適なフォームファクタ(形状)が薄型軽量のタブレットPCだったということである。
さらに、新しいFMV LOOXでは、LOOXという名前に「Look at eXperience(体験を見てほしい)」という思いも込めているという。これはユーザーに対して新しい体験を提供するということだけでなく、FCCL自身が新しい目線でもの作りをしていくというメッセージのようだ。
約11年ぶりに復活したLOOXブランドだが、今後も継続的に新モデルを投入していくのだろうか。3月29日に行われた発表会の質疑応答において、注目すべきやりとりがあったので紹介する。
質問者 今回はLOOXにスポットライトが当たっているのですが、既存の(ノートPCである)LIFEBOOKとはどのようにすみ分けるのでしょうか。
大隈健史社長 LIFEBOOKは弊社の本筋のブランドの1つです。いろいろなサイズの、いわゆる「クラムシェル型」のノートPCを複数リリースしています。
一方でLOOXはフォームファクタにとらわれるブランドではないと考えています。先ほどから何度か出ている「Look at eXperience」という言葉、革新的な体験をお届けできるPCができたらLOOXと呼ぼうということです。今回はハードウェアの作り込みはもちろん、クリエイティブコネクトを始めとするユーザー体験が革新的であるということで、LOOXと名付けることになりました。
そういう意味では、また新しいLOOXを発表できる日を、今からもう楽しみにしています。
質問者 齋藤(邦彰)会長が以前から予告していたLOOXブランドがタブレットPCとして復活したわけですが、今後「FMV LOOXシリーズ」という形で継続的に投入していくのでしょうか。それとも、今回限り(の復活)ということになるのでしょうか。
齋藤邦彰会長 LOOXというブランドは、それに値する製品をお客さまに提供できると判断した場合に付けようと考えていました。なのでLOOXと付く製品が毎シーズン出てくることはないと思います。
究極の目指す所は、今「パソコン」と呼ばれているもの――デスクトップだったりノートだったりタブレットだったりとありますが、新しい形、今後のPCの大元になるものを作れた際に「LOOX」という名前を付けられたらうれしいです。
今後のLOOXブランドは、FCCLのコンシューマー向けPCにおける革新的な製品に付けられるものという位置付けになるようだ。今後、どのようなLOOXが出てくるのか、楽しみにしたい。
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