既報の通り、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は6月中旬、第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)を搭載する13.3型タブレットPC「FMV LOOX」を発売する。量販店モデルの想定販売価格は18万1280円(税込み)からとなる。
2011年にNTTドコモが発売した「Windows 7ケータイ F-07C」以来、約11年ぶりに登場したLOOXブランドのPCだが、読者の中には「これは本当に“LOOX”と名乗ってもいいのか?」と疑問を持った人もいるだろう。というのも、LOOXは超小型モバイルPC(今風にいえば「UMPC」)に付与されるブランドだったからだ。FMV LOOXは確かに軽量なのだが、コンパクトとは言いきれない。
FCCLはなぜ、この新しいタブレットPCに「LOOX」というブランドを付与したのだろうか。
LOOXブランドのルーツは、2000年にまでさかのぼる。当時、富士通(当時)はコンシューマー向けノートPCを「FMV-BIBLO」というブランドで展開していたが、モバイルに特化したサブブランドとして登場したのが「FMV-BIBLO LOOX」である。
2000年に登場したLOOXは、8.8型液晶を備え1kgを切る重量を実現した「FMV-BIBLO LOOX S」と、10型液晶と光学ドライブを備える「FMV-BIBLO LOOX T」の2本立てだった。いずれもウィルコム(現在のソフトバンク)のネットワークに対応するPHSモジュールを内蔵するモデルを用意しており、64kbps(理論値)という当時としては比較的高速なモバイルデータ通信を1台でこなせた。
その後、LOOXブランドはハンドヘルドPC(PDA)や「ネットブック」(廉価なモバイルPC)を途中で挟みつつ歩みを重ねてきた。富士通が直接発売したモデルとしては、2010年に発売された「FMV-BIBLO LOOX U/G」が、他社を介して発売されたモデルとしては先述のF-07Cが“最後”のLOOXとなり、LOOXが担っていた役割はLIFEBOOKのUHシリーズやSHシリーズに引き継がれることになる。
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