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意外な落とし穴があるかも SMB1廃止のメリットとデメリットを考えるWindowsフロントライン(1/2 ページ)

» 2022年05月12日 12時00分 公開

 2022年4月29日(米国時間)にWindows Insider ProgramのDev ChannelとBeta Channelに対しWindows 11 Insider Previewの「Build 22610」が公開されたが、数ある変更点の中で下記の記載があった。「SMB1」とは、ネットワーク越しにファイルやプリンタ共有を行うプロトコル「Server Message Block v1.0」のことで、この機能がWindows 11 Homeで完全に無効化されたという話だ。

 この変更は、2022年後半にやってくるWindows 11の次期大型アップデート(機能アップデート)の「22H2」に相当する機能として有効化されるもの。Home以外のProやServerといった製品ではWindows 10の時代から既に無効化されており、40年近い歴史を誇るこのプロトコルはようやくその役割を終えようとしている。

 Windows 11 Home edition Dev and Beta Channel builds no longer enable the SMB1 client by default. If you have installed SMB1 manually or upgraded from a previous version of Windows where SMB1 was installed, upgrading to the latest Dev and Beta Channel build will not remove SMB1.

 この背景については、同社のネッド・パイル(Ned Pyle)氏が4月中旬ごろに既に解説しているが、今回は少しだけSMBの歴史を振り返りつつ情報を整理してみたい。

Windows 11 Insider Preview Build 22610 Windows Blogでの「Windows 11 Insider Preview Build 22610」の告知

SMB登場からSMB3、そしてSMB1廃止提案まで

 ネットワーク通信機能を標準で備えていた初のWindowsである「Windows for Workgroups 3.1」が日本ではリリースされなかったため、こと国内で初のネットワークOSとなったのが「Windows 95」だが、前述のようにSMBの歴史はさらに古い。

 Wikipediaの記述によれば、IBMでSMBが1983年に開発された当時、その狙いはMS-DOS(PC-DOS)におけるローカルディスクのアクセスをつかさどる「INT 21h」をネットワーク上のファイルへと拡張することにあったという。つまり、SMBの歴史はWindowsそのものより古いことになる。

 初期のSMBはLAN上のデータ転送にNetBIOS(NetBEUI)を用いてノード同士の直接通信を行うことを想定していたため、例えば社内LANを組んだときにローカルネットワーク内でのアクセスでは問題なかったものの、ルーターをまたいで複数のセグメントをまたぐような比較的大きなネットワーク上では通信できない問題があった。

 その解決策の1つは、TCP/IPのような比較的大きなネットワークでもルーティングを行うことで通信が可能なプロトコルを用いることで、「NetBIOS over TCP/IP」のような形でNetBIOSの通信をTCP/IPに中継させて解決させることが行われた。

 このように、転送用の下位プロトコルを選ばずにSMBの機能を実装できる仕組みを「CIFS(Common Internet File System)」と呼んでいたりするが、SMBとCIFSの違いと言葉の定義についてはこちらの記事を参照してほしい。

 このように、Windows 95が登場して企業システムにも広がりを見せ始めた1996年から1997年くらいにかけて、手軽に社内LANを構築してファイル/プリンタ共有を行う企業が増えてきたと思う。NovellのNetWareの代わりにWindows Serverを導入するケースも増え、いわゆるクライアント/サーバ型のアプリケーションが増加したのもこの頃だ。Linux/UNIX上でもWindowsマシンとのファイル/プリンタ共有を可能にするSambaが登場したり、急速に企業のコンピュータシステムのネットワーク化が加速していく。

 ただ、SMBの利用増加と発展とともに課題も増え、その改良版にあたる「SMB 2.0(以下、SMB2)」がWindows Vistaとともに2006年にリリースされた(以後、それより前のバージョンをSMB1と表記)。

 SMB2の特徴はSMB1でのレガシーサポートを排除し、処理をシンプル化することでネットワークやノードへの負担を軽減し、高速化を実現している。その後もSMBは改良が続けられ、2012年にはWindows 8のリリースに合わせて「SMB 3.0(以下、SMB3)」が発表されている。

 一連のバージョンアップの中で、セキュリティやスケーラビリティが大幅に改良されており、MicrosoftではSMB3の発表に合わせて「SMB1の退役」についての議論を持ち出している。つまり、SMB1の廃止が提案されてから実際にそれが実行されるまで10年の歳月を要したことになる。

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