このLIFT M800は、特徴的なMX Virtualの形状をそのままに小型化した縦型ワイヤレスマウスだ。57度の角度がついており、握手をするときのような自然な手首の角度で利用できるのが最大の特徴となる。
ボディーサイズは約70(幅)×108(奥行き)×71(高さ)mm、重量は約125gと、MX Virticalの約79(幅)×120(奥行き)×78.5(高さ)mm、重量は約135gに比べて一回り以上、小型かつ軽量化された。
直販価格もLIFT M800は税込み7700円と、MX Virticvalの1万1220円から大きくダウンしている。価格帯としてはミドルハイエンドに位置するモデルだが、1万円でお釣りがくるのはうれしい。
その特徴的なデザインに「慣れるまでは使いづらいんじゃないか」と思われがちだが、通常のマウス全体をググッと右に倒した形状となっているため、左右のクリックボタンやホイールなどの手のひらに対する相対的な位置は大きく変わらない。一方、移動に関しては今までどういう持ち方をしていたか、で感じ方は大きく異なる。
一般的に、マウスの持ち方は大きくかぶせ持ち、つかみ持ち、つまみ持ちの3つに分類される。かぶせ持ちは手全体でマウスにかぶせるような持ち方だ。それに対して、つかみ持ちは手のひらはマウスに触れるか触れないかくらいで指先中心にマウスを移動させる。さらに手首を浮かせて完全に指先だけでコントロールする持ち方が、つまみ持ちと言われる。
縦型のLIFT M800を、通常のマウスの持ち方分類に当てはめることは難しいが、あえて言えば基本的にはかぶせ持ちになるだろうか。しっかりとマウス全体を手のひらをつけてホールドし、手首から手のひら側面あたりまでを机面に接する持ち方だ。前後の操作時に手首を動かさず、指先の伸縮で調整する持ち方だと、ややつかみ持ち寄りと言えるかもしれない。
そのため、今までかぶせ持ちで使ってきた人にとってはそれほど違和感なく利用できるようになるはずだ。逆に、つかみ持ちやつまみ持ちで使ってきた人、つまり指先の筋緊張と引き換えに精密な操作を行ってきた人には、LIFT M800の操作感は少し大味に感じるかもしれない。
新モデルは疲れにくい、に全振りしている以上、オールラウンドな製品でないことはあらかじめ認識しておいた方がよい。少なくとも、LIFT M800は素早く正確なエイムに向いた製品ではない。
このように、一般的なマウスではクセや用途に応じた持ち方ができるのに対し、人体の構造に沿った設計がなされているエルゴノミクスマウスでは、想定されたポジションや使い方でなければ極端に使い心地が悪くなってしまうことがある。
特にマウスと手の大きさが合わないとどうやっても適切なポジションにならず、エルゴノミクスデザインのメリットを享受できない。LIFT M800の最大のメリットは手の小さめな日本人、特に女性にフィットしやすいサイズであることそのものだろう。
なお、手のひらを横向きに立てる姿勢となることで、今まで以上に重要な要素となるのが肘の高さだ。なんだか合わないな、と思ったらまずは机や椅子の高さを調整し、机に手を置いたときに自然な肘の形になるようにしてみてほしい。
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