MX Virticalに見られた不満点の多くが解決したLIFT M800だが、初めて縦型マウスを使う人には注意が必要な点もある。
1つ目は、マウスの背が高いことによる操作感の違いだ。LIFT M800の高さは約71mmあり、大型マウスであるMX Master3の約51mmと比較してもかなり高い。そのため、マウスからキーボード、あるいはその逆に手を移動させるときに、通常のマウスと同じつもりで動かすと、LIFT M800に手がぶつかってしまう。
やや高めの軌道を取るか、マウスの後ろを回るようにU字型に動かさなければならない。その他、机回りでキーボードスライダーを使っている場合には、収納時に十分な高さがあるかも確認しておく必要がある。
もう1つ、切り返しのしづらさにも要注意だ。もともと上に向かって細くなっていく形状であるのに加え、MX Virticalのときは上下方向に滑り止め代わりとなる面取りがされていた。
それに対しLIFT M800は水平方向に筋が入っているものの、親指があたる奥側はつるりとしていて滑りやすい。切り返しがあまり必要ないよう、ポインターの速度を高めに設定するとよいだろう。
LIFT M800の製品仕様は、小型ボディーでLogi Boltの採用、3色のカラーバリエーションに静音スイッチの導入、さらに電池式と、最近のロジクールの志向が強く表れているような印象がある。
特にサイズについては、M/Lの2サイズ展開の「M650 SIGNATURE」や「POP MOUSE」といったバリューゾーンの製品だけでなく、Masterシリーズの「MX ANYWHERE 3」もコンパクトサイズだ。これらの日本市場でのセールス傾向などが、LIFT M800の開発/発売につながったのかもしれない。
精細で正確なトラッキング、静音ボタン、安全で省電力のワイヤレス技術など、機能面ではある意味行き着くところまで行ってしまった感もあるマウスだが、ヒューマンインタフェースという点では、ユーザーの体格や多様性に合わせた多バリエーション展開など、まだ発展の余地もあるように感じる。実際、LIFT M800はMX Virticalの後継ではなく、サイズバリエーションとして併売されている。今後は、一部諸国で展開されている左利きモデルの導入についても期待したいところだ。
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