使い方は一般的なディスプレイと変わらず、PCに接続すると最適な解像度が選択されて画面が表示される。今回は解像度2560×2880ピクセル、拡大率150%に自動的に設定された。2560×1440ピクセルを縦に2つ積み上げたサイズで、アスペクト比で言うと16:9の2倍、16:18ということになる。
Nano IPS液晶ということもあって色合いは落ち着きがあり、ノングレアゆえ目にも優しい。初期設定の状態では、筆者のようにテキスト中心に作業をするユーザーにとってはやや輝度が高い印象だが、調整すれば問題なく使えるようになる。
ちなみに、視野角は水平/垂直ともに178度で、コントラスト比は1000:1、輝度は300ニト、表示色は約10.7億色、応答速度は5ms(GTG)というスペックだ。DCI-P3のカバー率は98%と広色域なので、色を重視する環境にも向いている。HDR10にも対応しており、ディスプレイとしての表示品質面でも不満はない。
本製品ならではのユニークな機能として、画面分割機能が挙げられる。これは複数のソースから入力した映像を画面の上下に分けて表示する機能で、例えば上半分はHDMIを経由してWindowsの画面、下半分はUSB Type-Cを経由してiPadの画面といった具合に、別ソースの同時表示が行える。特にiPadの場合、本製品に接続しても、アスペクト比が16:18に引き伸ばされるわけではないので、画面を有効に利用できる。
この機能は、解像度が対応しない場合の備えとしても有効だ。そもそも本製品の2560×2880ピクセルという特殊な解像度で、正常に表示できるかどうかはPCに依存しており、特に古いPCだとアスペクト比が乱れる可能性がある。本製品の画面中央に通常のアスペクト比で表示することは可能だが、そうなると上下の黒帯部分が全くの無駄となってしまう。
しかしこの画面分割機能があれば、その黒帯部分も使う形で別ソースの映像を表示できるので、本製品をわざわざ買ったにも関わらず画面の広さを生かせないというムダも回避できる。そうした意味でも有用だ。
明るさなどの細かな設定を行うOSDメニューは、本体底面のジョイスティック状のボタンで行う。多くのディスプレイでは、どこにOSDメニューを操作するためのボタンがあるか分からず、本体裏や側面を手探りで探さなくてはいけないが、本製品の配置なら迷うことがない。
また、メニュー自体も非常に見やすく、きちんと日本語化されていて分かりやすい。操作性も良好で、完成度の高さを感じさせる。ちなみにOSDメニューを表示させない状態で左右に倒すことで、音量の調整が行えるなど、利便性にも配慮されている。
実際の使い勝手だが、縦方向だけではなく横方向にも広いというのは、極めて利便性が高い。もしこれまで、ブラウザやExcelのワークシート表示時だけ縦向きに回転させるという使い方をしていたのであれば、回転不要でどちらにも対応できるのは、大きなメリットになるはずだ。
筆者は普段、32型のメインディスプレイの左右に、24.1型ディスプレイ×2台を縦置き(1200×1920ピクセル)に設置しているのだが、ブラウザなどの表示においては縦向きは便利でも、メインディスプレイに収まり切らないウィンドウを一時的に移動させた時、やはりもう少し横幅が欲しいと感じるケースは少なからずある。本製品はこうしいった場合でも圧倒的に快適だ。
ただし前述のように、本製品の横幅自体は24型と大差がないことには注意したい。「縦向きに設置したディスプレイの横幅にゆとりを持たせた製品」と考えれば優れた製品だが、横方向だけで見れば、あくまで24型相当でしかないからだ。例えば27型や32型のサイズの利用経験があり、そこから本製品に乗り換えると、むしろ横方向の窮屈さがストレスになる可能性がある。
こうしたことから、ノートPCしかないところに新規に本製品を導入する場合と、既にデスクトップ用のディスプレイがある状況で本製品を追加する場合、もしくは入れ替える場合など、利用環境および経験によって製品の印象がかなり変わるであろうことは、念頭に置いておいた方がよさそうだ。
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