日本HPは7月15日に「HP Japan INNOVATION SUMMIT」を開催した。このイベントでは米HP(日本HPの親会社)のエンリケ・ロレスCEOがビデオ登壇し、「サステナビリティ」の実現を目指す意義と戦略について語った。
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大企業を中心に、最近は国内外においてサステナビリティ、日本語でいえば「持続可能性」に関する取り組みが強化されている。「SDGs(持続可能な開発目標)」とも呼ばれる通り、企業活動に持続可能性を意識した目標(取り組み)を盛り込むというものだ。
HPはサステナビリティに積極的に取り組む企業としても知られている。カナダの調査期間「Corporate Knights」が発表するSDGsに関するレポートによると、米Xerox(ゼロックス)や米Appleに次ぐ世界50位にランクインしている。
今回のイベントでは、日本HPの岡戸伸樹社長がロレスCEOにインタビューする形でグローバル企業としてのHPにおけるサステナビリティへの取り組みが紹介された。
主にコロナ禍が起因となって発生した半導体不足の深刻化、ロシアによるウクライナ侵攻など、2022年の上半期は世界を揺るがす課題が複数生じた。そんな中でもHPは、2022年第2四半期(※1)の売上高は165億ドル(約2兆2615億円)、昨年度同期比で3.9%の成長を果たした。
現在のHPはPCを中心とする「パーソナルシステムズ事業」と、産業用/家庭用プリンターを中心とする「プリンティング事業」の2本柱が主力事業となっている。コロナ禍の需要の変化は、どちらの事業にも追い風となっているという。
(※1)HPの事業年度は前年11月1日にスタートし、当年10月31日に終わる。そのため、2022年度は2021年11月1日から2022年10月31日までとなり、「第2四半期」は2022年2〜4月を指す
ロレスCEOは、HPの好調さの背景としてここ数年の消費者や企業の価値観の変化があると示唆する。「消費者は“自分たちの価値観を代弁してくれる”ブランドを選ぶようになっている」というのだ。加えて「また、企業も気候変動などの社会課題に具体的な目標を掲げて挑戦する姿勢が求められる」ともいう。
同社のサステナビリティーに対する具体的な取り組みは、7月に公表された「HP Sustatinalble Impact Report 2021」にまとめられている。
このレポートによると、サステナビリティーへの取り組みをきっかけとして新たに得た売り上げが35億ドル(約4798億円)に達したと公表された。2020年度のレポートでは10億ドル(約1370億円)だったため、約3.5倍に伸びたことになる。ロレスCEOは「私たちのサステナビリティーへのコミットメントに加えて、顧客企業が求めるサステナビリティー要件を満たしていることが、HPが選ばれる理由となっているのだろう」と分析する。
こうした事業環境の変化への対応に当たり、ロレスCEOは「企業カルチャー」を重要視しているという。HPは「世界で最も持続可能で公正なテクノロジー企業となる」という企業理念を掲げ、その理念の下で全社的なサステナビリティーへの取り組みを進めている。
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