停電に備えた電源装置だからといって、UPSにはどのような電気機器もつなげるわけではない。
まず、UPSにはそれぞれに最大出力電流が決まっている。これを超える電流が流れると、UPSの保護機能が働いて電源供給が遮断されることがある。これでは停電対策にはならない。
もっというと、UPSの最大出力電流を大きく上回る電流が流れてしまうと、UPS自体が故障することもある。UPSにつなげる機器は、PCやサーバ/NAS、ネットワーク機器といった比較的電力消費の少ない機器にとどめるようにしたい。
「想定外の機器をつなぐ人なんているの?」と思うかもしれないが、これが意外と多かったりする。とりわけ、UPSからの電源出力(コンセント)にOAタップをつなげている場合、それがUPSにつながっていると知らずに電気ケトルやレーザープリンタといった稼働時の消費電力が大きい機器を差し込んでしまい、これらを動かした瞬間に“ダウン”なんていうことは珍しくない。
少しアナログだが、電源出力の都合でOAタップ類を使う場合は「UPSにつないでいます!」「他の機器の接続厳禁!」といった警告の掲示やシールを用意しておくことをお勧めしたい。
一般に、UPSは最大出力容量が高くなればなるほど、その価格も増す。予算に余裕があるなら「ひとまずPC、サーバ/NASとネットワーク機器をつなごう」と大ざっぱに考えやすいが、余裕がないならそうは行かない。停電時に保護すべき機器の“優先順位”を決めておくことが重要だ。
例えば、業務で利用しているファイルを保存しているNASがある場合は、最優先すべき保護対象はNASとなるだろう。次いで重要なファイルを扱っているPCを保護する――というように、事業の継続性と予算を天秤にかけて、適切なバッテリー容量と保護機能を備えるUPSを選ぶと良いだろう。
UPSの導入に当たっては、その“仕組み”も導入コストを大きく左右しうる。次回は、UPSの“仕組み”についてもう少し詳しく紹介する。
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