Intel Arc A380搭載デスクトップPC「DAIV Z3-A380」の性能は? クリエイティブ系アプリは加速する?(2/4 ページ)

» 2022年09月13日 12時30分 公開
[マルオマサトITmedia]

大幅に進化した第12世代Coreプロセッサを搭載

 本機のCPUは、IntelのCore i7-12700を搭載する。デスクトップPC向けの第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake-S)の中でも主力といえる存在で、ゲーミングPCやクリエイターPCで搭載例が多いモデルだ。

 この第12世代Coreプロセッサの性能は、とにかく素晴らしい。性能優先のPコアと電力効率優先のEコアのハイブリッド構造を採用し、最適に使い分ける仕組みが取り入れられており、電力効率を改善しつつ性能を大幅に底上げしている。特に、デスクトップPC向けのCPUは、近年数世代に渡って大きな進化がなかっただけに、第12世代Coreプロセッサの魅力は非常に大きい。

マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 評価機のCPUはCore i7-12700を搭載する。性能優先のPコアを8基(16スレッド)、電力効率優先のEコアを4基(4スレッド)搭載する構成で、12コア20スレッドという仕様だ
マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 標準で9cmファンを搭載した、比較的コンパクトなサイドフロー式のCPUクーラーを備えている。BTOでは、12cmファンを採用したより冷却効率の高いCPUクーラー(Cooler Master Hyper 212 EVO)や高性能グリスの塗布も選べる

将来有望なAV1ハードウェアエンコードに対応したIntel Arc A380

 グラフィックスカードに、Intel Arc A380 GPUを採用しているのも本機の大きな特徴だ。Intel Arcシリーズは、Intelが近年開発を進めてきた「Xe-HPGアーキテクチャ」のGPUで、A380はデスクトップPC向けのArcシリーズの中ではエントリー向けのモデルとなる。

 演算を行うXeコアが8基、レンダースライスが2基、レイトレーシングユニットを8基備え、VP9、AVC(H.264)、HEVC(H.265)、AV1のハードウェアデコード/エンコードに対応したメディアエンジンも統合し、グラフィックスメモリとしてGDDR6を6GB搭載している。

 AV1はH.265を上回る高い圧縮効率に加え、ロイヤリティフリー(H.265はロイヤリティーが高額かつ複雑)というメリットがあり、Microsoft、Apple、Google、Amazon、NVIDIAなども支持を表明しており、今後広く使われていくと期待されている。

 NVIDAの主力であるGeForce RTX 30シリーズはAV1のハードウェアデコードに対応しているが、ハードウェアエンコードには対応していない。将来有望なAV1のハードウェアエンコードをいち早くサポートしている点は、Intel Arc A380 Graphicsの大きなアドバンテージといえる。

マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 Intel Arc A380 GPUは、デスクトップPC向けのArcシリーズの中ではエントリー向けのモデルとなる
マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 評価機には、ショートサイズ(実測で長さ約170mm)のコンパクトなカードを搭載していた。補助電源も不要だ
マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 グラフィックスカードを効率的に冷却するために、標準でケース左側面にファンが装備されている
マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 アドビの「Lightroom Classic」における環境設定画面。Intel Arc A380 Graphicsでも、GPUアクセラレーションは利用できる
マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 同じく「Photoshop」の環境設定画面。こちらもIntel Arc A380 Graphicsは認識されており、OpenCL経由でGPUによる高速化/拡張機能は利用できる
マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 Arc A380は、AV1のハードウェアエンコーダを統合している。DaVinch Resolve 18では、MP4エンコードのコーデックとして「AV1」を選択できた(Intel Arc GPU非搭載のシステムでは、AV1コーデック自体が選択肢に表示されない)

メモリは最大128GBまで NVMe SSDのデュアル搭載も可能

 CPUとGPU以外の基本スペックは、BTOで柔軟なカスタマイズできる。標準構成では、メモリが32GB(16GB×2/DDR4-3200)、ストレージはシステム用の512GBのNVMe SSDにプラスしてデータ用に1TBのHDD(Serial ATA接続)を搭載するデュアルドライブ構成だ。

 BTOではメモリを最大128GB(32GB×4)まで選べ、NVMe SSDは最大2基、合計4TBまで追加できる。3.5インチHDDは、5インチベイに装着するリムーバブルHDDケースでの搭載も可能になっているなど柔軟性が高い。

マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 メモリはPC4-25600(DDR4-3200)対応で、標準で32GBを装備する。BTOでは最大128GB(32GB×4)の構成も選べる
マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 マザーボードのM.2ソケットに搭載するSSDには、サーマルスロットリングを防ぐヒートシンクを装着している。ボード上にはM.2ソケットがもう1基あり、BTOでの追加に対応している
マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 標準装備のストレージは、512GBのPCI Express SSDだ。評価機では、Kingston製のSSDを搭載していた
マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 標準装備のSSDにおけるCrystalDiskMark 8(ひよひよ氏・作)のスコア。BTOでは、より高速なSamsung PM9A1(PCI Express 4.0x4対応)も選べる
マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 ボディー前面側のドライブケージに、1TBの3.5インチHDDを備えている。BTOでは最大8TBのHDDを選べる他、これとは別に前面のオープンベイにリムーバブルケースと一緒に搭載することもできる

高速2.5GBASE-T有線LANにWi-Fi 6対応の無線LANを標準装備

 本機のマザーボードには、Intel Z690チップセットを搭載しており、背面にはUSB 3.2 Gen 2 x2(20Gbps)に対応したUSB Type-Cポートを装備する。これを含め、USBは背面と前面合わせて合計で9基と豊富だ。

 通信機能は、一般的な1000BASE-Tの2.5倍の速度で通信できる2.5GBASE-T対応の有線LANと、Wi-Fi 6対応の無線LAN、Bluetooth 5.2も搭載している。

マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 マザーボードにIntel CNVi対応の通信モジュール「AX201」が標準で装着されており、Wi-Fi 6対応の無線LAN、Bluetooth 5.2を利用できる
マウスコンピューター DAIV Z3-A380 Intel Arc A380 背面にある有線LAN端子は、高速な2.5GBASE-Tに対応する。USB Type-C端子は、20Gbps(USB Gen 2 x2)対応だ。4基のUSB 3.0(Type-A)に加え、USB 2.0(Type-A)も2基ある

 続いて、ベンチマークテストで本機のパフォーマンスを見ていこう

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