VRのヘッドマウントディスプレイ(HMD)を手がけるOculusを2014年に買収したFacebookが、2021年に社名をメタ・プラットフォームズ(Meta)に改め、TGS2022で「Meta Quest 2」(旧Oculus Quest 2)を「Meta Questブース」として初出展したのも、トピックの1つだろう。
もちろん、単に展示しただけではなく10部屋のデモスペースを用意して、人気タイトルの「Beat Saber」や「Sports Scramble」など複数の作品を体験プレイできた。
Meta Quest 2の発売から2年が経過した、なぜこのタイミングで出展なのだろうか。また日本を特別な市場と捉えている理由、今後の見通しなどについてMeta Reality Labs 日本マーケティングリード 上田俊輔氏に話を聞いた。その内容を一問一答でお届けする。
―― このタイミングでMeta Quest 2で“初出展”する理由は?
上田氏 2020年に発売されたMeta Quest 2が、ちょうどコロナ禍にあり、TGSの開催がなかった。2021年になって開催の知らせを聞いたが、メインはオンラインのみだった。VRは体験してこそ意味があるもので、オンラインではPCの画面を見ているのと何ら変わりはなく、魅力が半減してしまう。そこで、オフライン開催することが決まったTGS2022に出展することにした。
―― グローバル視点で日本のVR市場をどのように捉えているのか?
上田氏 Metaはグローバル展開しているが、その中でも日本のマーケットを最重視している。その理由は2つある。
1つはTier 1(ティアワン。購入可能の最も高い見込み客)と呼ばれる層が存在するのが主に米国と日本だけであり、ゲームとしてもVRとしても市場のポテンシャルが高いことだ。
もう1つは優秀なクリエイターが多く、日本発のコンテンツやIP(Interllectual Propery)がとても強く、魅力がある。というのも、Meta Questはコンテンツあってのデバイスなので、優秀なクリエイターを発掘して、魅力的なVRコンテンツをさらにたくさん開発してもらいたいと考えているからだ。
私はMetaのマーケット人員第1号だが、そこからどんどんマーケメンバーが増えてきている。しかも、グローバルに展開している中で、日本だけ独自のマーケチームがある。Metaは、それほどVRの日本市場を重要だと捉えている現れだ。
―― 日本市場でMeta Questはどのくらい浸透しているのか。今後の見込みは?
上田氏 「VR」という言葉は日本ではかなり浸透しているが、実際に体験した人は少ない。逆に、日本人が好む国内パブリッシャーによるタイトルやロールプレイングゲームなどのコンテンツが増えてくれば、購入へのハードルを突破するだろうから、今後いくらでも浸透する見込みがあると考えている。
―― Meta Quest 2を値上げするなど円安の影響についてはどうか。
上田氏 値上がりしたところで、デバイスの持つ魅力は変わらず、競争力を失っていないと考えている。
―― Workplaceでは、VRの中でもリアルなPCのキーボードをたたくことができ、リモートワークにも非常に役立つと考えている。今後、PCとの親和性はどのように展開していくと考えているか。
上田氏 Meta Quest 2の発売から2年。ハードは同じでもソフトウェアはどんどんアップデートしており、ハンドトラッキングなど新機能が追加されている。そういった形で、これから提供することもあるし、Questの後継機というより、ビジネスユースを想定したハイエンドモデル「Project Cambria」(開発コード名)をリリース予定なので、10月11日(米国時間)に行われる「Meta Connect」を楽しみにしてほしい。
―― 最後に読者へメッセージを
上田氏 「VRで最高の没入感を」と私たちが訴えたところで、その完全なる没入感――完没を体験してみないと、その魅力は伝わらない。ぜひともMeta Quest 2を装着して、完没を体験してもらいたい。
また、いくら私たちがハードを作っても、それだけでは楽しめない。コンテンツクリエイターやサードパーティー製のハードを作るパートナーさんたちと一緒に共創することで、世界を作り上げていける。リアルな世界でも、仮想現実の中でも、人と人とのつながりを大切にしていく姿勢を貫いていきたいと考えている。
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