第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)はなぜ速い? コア数とキャッシュ容量増加が意味すること(1/3 ページ)

» 2022年09月28日 01時20分 公開

 既報の通り、Intelは9月27日(米国太平洋夏時間)、第13世代Coreプロセッサ(開発コード名:Raptor Lake)を正式に発表した。その先陣を切るハイエンドデスクトップPC向けの製品は、米国において10月20日に発売される予定となっている。

「第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)」登場 “世界最速”のアンロック対応デスクトップ向けから

 先日、同社はイスラエルにおける事業を説明する「Intel Technology Tour 2022」を開催したが、実は旅程には第13世代Coreプロセッサの“秘密”に迫る説明会が組み込まれていた。説明会には同社の担当者が登壇し、報道関係者に同プロセッサの特徴を詳しく説明した。

 第13世代Coreプロセッサはなぜ“速い”のか――この記事では説明会の模様をお伝えする。

発表会 正式発表された第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)。第12世代(Alder Kake)と同様に、まずはアンロック対応のデスクトップ向け上位プロセッサから発売される

シングル/マルチスレッド性能の両方を大幅に向上

 「百聞は一見にしかず」ということで、スライドを交えてサクサク解説していきたい。

 一部でうわさになっていた通り、第13世代Coreプロセッサは「高効率コア(Eコア)」の搭載数を最大8基から最大16基に増強した。このEコアは“高効率”とうたっているものの、ArmアーキテクチャのCPUにおけるEコアよりも“パフォーマンス”を重視した設計となっている。簡単にいえば消費電力を抑えつつも、そこそこ高いパフォーマンスを発揮できることに重きを置くコアである。

 一方で、このEコアはマルチスレッドに対応していない。そのため、単純にコアを増やせば増やすほど処理パフォーマンスが向上しやすいということにもなる。ある意味で、第13世代Coreプロセッサは「More is better」の考え方でパワーアップしたCPUともいえる。

 実際、PコアとEコアを初めて併載した第12世代の最上位製品(Core i9-12900K)と比べると、第13世代の最上位製品(Core i9-13900K)はマルチスレッド性能で最大41%、シングルスレッド性能で最大15%ほどパフォーマンスが向上するという。この性能向上のうち、マルチスレッド性能の向上は明らかにEコアの“倍増”による貢献が大きい。

 シングルスレッド性能の向上は、ひとえにクロック周波数の積み増しの効果が大きい。第13世代Coreプロセッサでは、PコアとEコア共に600MHzほど最大クロックが引き上げられているのだ。

説明 第13世代Coreプロセッサの概要は、クライアントコンピューティング部門 バイスプレジデントのマンディー・モック氏が説明した
製品構成 第13世代Coreプロセッサは、第12世代と同様にデスクトップ向けの「Sシリーズ」と、ノートPC向けの「HXシリーズ」「Hシリーズ」「Pシリーズ」「Uシリーズ」が展開される。今回発表されたのは、Sシリーズのうち型番に「K」の付くアンロック対応モデルである
スレッド 事前のうわさにもあったが、第13世代Coreプロセッサの最上位製品であるCore i9-13900KはEコアが先代(Core i9-12900K)の倍の16基に増やされている。マルチスレッド性能の伸びが顕著なのは、このことが大きく寄与している
インタフェース Sシリーズのソケットは「LGA1700」で第12世代Coreプロセッサと共通。一部UEFI(BIOS)の更新が必要となるが、第12世代Coreプロセッサ用に発売されたマザーボードをそのまま利用できる

オーバークロッキングにも高い耐性

 第12世代の基本設計を継承した第13世代Coreプロセッサは、全体的にオーバークロッキング耐性が高めとなっている。同社が配布しているアンロックツール「Intel Extreme Tuning Utility(XTU)」を使うと、コア単位でオーバークロックの調整ができるようになっている。やろうと思えば、液体窒素を使った8GHz超のオーバークロッキングまでできてしまうとのことだ。

オーバークロッキング 新しいIntel XTUは、オーバークロックの設定がしやすくなった。コア単位で細かいパフォーマンス調整も行える。この写真は、Core i9-13900KのPコアを6GHz近くで駆動するようにチューニングしている所を撮影したものだ
定格 ちなみに、今回発表されたSシリーズのアンロック対応モデルは“定格の”最高クロック設定も高めになっている。Core i9-13900Kは、特にチューニングしなくてもPコアは最大5.8GHz、Eコアは最大4.3GHzで駆動できる
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