iPhone 14、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Maxが発売されて間もなく2週間が経過する。そして10月7日、少し遅れて「iPhone 14 Plus」が発売される。
発売済みの3モデルについてはそれぞれの違い、あるいは2021年モデルであるiPhone 13シリーズやiPhone 13 Proシリーズからの進化点は一通り周知が進んでいるものと思う。この連載でも、先行レビューという形でチェックした。
今回の記事の“主役”は、遅れて発売されるiPhone 14 Plusである。ご存じの人も多いと思うが、iPhone 14とiPhone 14 Plusとの間には機能や性能における差異はない。したがって、iPhone 14 Plusについて「どんな機能があるの?」「どんな性能なの?」と聞かれたら、「iPhone 14と同じだよ!」と答える他ない。
しかし、もう少し視野を広くして見てみると、iPhone 14 Plusを選ぶべき理由も見えてくる。先に答えをいってしまうと、iPhone 13 Proシリーズと同等の性能、ディスプレイにカメラの画質(望遠を除く)を備えつつも、より長いバッテリー駆動時間と軽量さを持ち合わせており、堅実かつ良質なiPhoneがほしい人にお勧めできる仕上がりとなっている。「Pro Maxに興味あるけれど、ちょっと重たいスマートフォンはなぁ……」という人にこそ、積極的に注目してほしいモデルなのだ。
この結論について、もう少し掘り下げて解説してみよう。
2022年のiPhoneのラインアップでは、iPhone 14 Proシリーズにのみ新しいSoC「A16 Bionic」が搭載された。一方で、iPhone 14シリーズは2021年モデルと同じ「A15 Bionic」が搭載されている。
こう聞くと「何だ、去年から性能は変わっていないのか……」と思うかもしれないが、iPhone 14シリーズに搭載されているA15 Bionicは、iPhone 13 Proシリーズと同じもの、つまり5基のGPUコアが全て有効になったものである。そのため、少なくともグラフィックスの面ではiPhone 13シリーズよりは少し良くなっている。
もっとも、連載で触れた通り、A16 BionicもA15 Bionicから大幅に性能が向上したわけではなく、新機能である「Dynamic Island(ダイナミックアイランド)」や「4800万画素メインカメラ」といった新機能を支えるためのリファインが主である。ベンチマークテストをしてみると差が出るには出るのだが、そこまで大きなものではない。
iPhone 14シリーズとiPhone 13シリーズを比べると、より万全な放熱対策が施されている。具体的には、放熱に利用するグラフェン(炭素)シートをより多く使うことで、SoCの放熱効率がより高まっている。GPUコアの増分を含めて、高負荷が続く状態でもピーク性能をより維持しやすい作りとなったのだ。
macOS VenturaをインストールしたMacと、iOS 16をインストールしたiPhoneを組み合わせると、iPhoneをMacのカメラとして利用できる「連係カメラ(Continuity Camera)」を利用できる。
この機能でカメラエフェクトを利用すると、各種処理はiPhone側で行われる。iPhone 13シリーズで連係カメラを使ってみると、気温によっては発熱でダウンしてしまう(≒Macとの接続が切れる)こともあったが、iPhone 14 Plus(やiPhone 14)なら同じ条件で使っても“余裕”である。
「2022年モデルの序列はどうなのか?」と気になる人もいるだろう。「iPhone 14がいいのか、それともiPhone 14 Proがいいのか?」という観点なら、予算と相談しつつ、純粋により高いカメラの性能/画質を求めるのかどうかで選べば良いと思う。
センサーの大型化やレンズの改良による基礎体力の向上、大型センサーをうまく使った「2xズーム」の利便性、それにGPSの捕捉速度や精度など、iPhone 14シリーズとiPhone 14 ProシリーズではSoCの性能“以外”の部分で少なからず体験の違いを覚えることがある。筆者個人としては、カメラ性能を重視するならiPhone 14 Proシリーズを勧めたい。
一方、今回出てきたiPhone 14 Plusは、先に言った通り「iPhone 14の大画面版」である。この点は「iPhone 14 Pro MaxはiPhone 14 Proの大画面版」という関係と一緒なのだが、少し視点を変えてみるとiPhone 14 Plusのメリットが見えてくる。
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