どのモデルを選べばいい? ソニーの「INZONE」ゲーミングヘッドフォン3機種を試す(2/2 ページ)

» 2022年10月14日 12時00分 公開
[今藤弘一ITmedia]
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ポイント5:サウンド設定

 INZONEのヘッドフォンは、ソニーのWebサイトからダウンロードできる共通ユーティリティーアプリ「INZONE Hub」からさまざまな設定ができるようになっている。ソフトウェア(ファームウェア)の更新も、ここから行える。

 設定できる項目はモデルによって異なるので、細かくチェックしていこう。なお、先述の通り、ワイヤレスモデル(INZONE H9/H7)はBluetooth接続中はINZONE Hubでの設定を行えないので注意しよう。

3モデル共通で設定できること

 「サウンド設定」の中にある「サウンドプロファイル」は、全モデルで設定できる。サウンドプロファイルでは、イコライザーの調整と立体音響のオン/オフを切り替えられる。

 イコライザーには「Flat」「Bass Boost」「Music/Video」「Custom」の項目が用意されており、FlatからMusic/Videoの設定を調整すると、自動的にCustomに振り分けられる。デフォルトで用意されているBass BoostやMusic/Videoはざっくりとした設定なので、中高域のレベルを変えるなどして、好みの音に調整すると良い感じに調整できる。

 「ダイナミックレンジコントロール」では、音声信号の高い方と低い方を調整する機能があるが、これを有効にすると、音量の高低差が圧縮されて不自然になる。「ゲーム中の破裂音や銃声などがあまりにも響きすぎて困る」という場合には便利なのだが、通常時は無効のままとしておくことをお勧めしたい。

 「立体音響」はその名の通りで、7.1chバーチャルサラウンドを利用するかどうかを設定できる。スマホアプリ「360 Spatial Sound Personalizer」(Android版iOS版)を使って耳の形を撮影しておくと、聴感特性データが作成され、それぞれに合わせた音響を設定して利用できる。

INZONE スマートフォンで耳の形を測定して立体音響をカスタマイズできる

INZONE H9で設定できること

 INZONE H9では、サウンド設定の右カラムに「ノイズキャンセリング」の項目も表示される。文字通り、ここではノイズキャンセリングに関する設定を行える。

 INZONE Hubのノイズキャンセリング項目では「外音取り込み」の調整も可能だ。外の音を聴きながらプレイしたい場合は有効活用したい。ノイズキャンセリングと外音取り込みについては、本体左ユニットにある「NC/AMB」(ノイズキャンセリング/外音取り込み)のボタンでオン/オフを切り替えられる。

INZONE INZONE H9では「サウンド設定」でノイズキャンセリングを設定できる
INZONE INZONE H9の本体左ユニットにある「NC/AMB」ボタン。その右はボリュームダイヤル、左は充電用のUSB Type-Cポート。ボリュームコントローラーの上にあるのは、ノイズキャンセリング機能用マイクである

 H9に搭載されたノイズキャンセリング機能は優秀で、オンにすると周辺の雑音がある程度カットされる。“ある程度”としたのは、同じくソニーが発売しているワイヤレスヘッドフォン「WH-1000XM4」と比べると、効果が若干弱めで、意外と外音を拾ってしまうと感じたからだ。

 WH-1000XM4の場合、ノイズキャンセリングがオンになると他の音がほぼカットされる。これに対してH9の場合は、例えばキーボードのタイプ音やマウスのクリック音、そばで話をしている人の声が意外と聞こえてしまう。一方で、サーキュレーターの風切り音やPCのファン音など、「ゴーッ」という風を切る音はH9でもしっかりと消える。

 それでもノイズキャンセリング機能のないH7/H3と比べると、H9はノイズキャンセリング機能によって静かさを確保しやすいことは明らかだ。没入感を高める役割はしっかりと果たしてくれる。「PUBG:BATTLEGROUNDS」のようなバトルロイヤルゲームでは、ノイズキャンセリングが有効だと周囲が静かになり、敵の音を聞き分けやすくなる。ワンランク上のゲーム体験をしたいのであれば、ノイズキャンセリングに対応するINZONE H9を選んだ方がよい。

 なお、ノイズキャンセリング機能がないからといって、没入感が完全に失われるわけではないことも記しておきたい。というのも、今回紹介しているモデルは全て、耳をすっぽりと覆うタイプのヘッドフォンである。そのため、イコライザーをうまく調整すれば外音そのものは聞こえにくくなる。

INZONE 本体右ユニット。左からゲーム/チャットバランスボタン、Bluetoothボタン、電源ボタン。中央左上にあるのはこちらもノイズキャンセリング機能用マイクである

INZONE H7で設定できること

 INZONE H7は、INZONE H9と比べると「ノイズキャンセリング」の項目が消えるだけといった感じだ。サウンドプロファイルの他、マスター音量、ゲーム/チャットバランス、マイクの音量とサイドトーンの調整を行える。

INZONE 項目が減ったH7のサウンド設定
INZONE H7の左ユニット。ボタンなどはH9とほぼ同じレイアウトだがノイズキャンセリング用のボタンが配置されていない他、ノイズキャンセリング機能用マイクの穴がない
INZONE 右ユニット。こちらもほぼ同じだが、ノイズキャンセリング機能用マイクの穴がない

INZONE H3で設定できること

 他の2モデルと異なり、INZONE H3は有線接続となる。汎用(はんよう)的な3.5mmプラグを備えることもあってか、INZONE Hubで調整できるのはサウンドプロファイル、マイクの音量調整やサイドトーン調整、立体音響の設定のみとなる。

INZONE INZONE H3のサウンド設定
INZONE INZONE H3の左ユニットに配置されているボリューム

どれを選べばよいのだろうか?

 INZONEブランドのヘッドセットは、モデルによって特徴が分かれる。ではどのモデルを選んだら良いのだろうか。

 「これからゲーミングヘッドフォンを購入して、ゲームを楽しみたい!」というなら、エントリーモデルとなるINZONE H3を選んでも満足できるはずだ。「ヘッドセットを装着したまま移動したい!」というなら、無線接続のINZONE H7かINZONE H9を選べばいい。音質重視であるなら、やはりH7かH9ということになりそうである。

 H7とH9で迷ったら、ノイズキャンセリング機能の要/不要で判断すればいいと思う。「とにかく最上位!」というなら、迷わずH9に行こう。

 筆者はどうかって? 率直な感想をいうと「H7がいいかな」と思う。機能と価格のバランスが一番良く、ゲーミングヘッドセットに求められる品質を十分に備えているからだ。

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