純粋な電子書籍リーダーとしてのKindle Scribeは、「画面を大きくしたKindle」という感じで、従来のKindleからの特筆すべき変更点や進化ポイントはない。
ホーム画面の表示やスクロールの遅さは、率直にいうと“相変わらず”である。しかし、電子書籍を読み始めてしまえば、快適に操作できる。画面サイズが大きくなったので、老眼持ちの人でも文字主体の書籍(小説など)が読みやすいという点はメリットといえるだろう。
一方で、これだけ画面が大きくなると「横向きにして、マンガを見開きで読みたいなぁ」と思う人もいるだろう。もしも横向き(あるいは見開き)で書籍を見たい場合は、「レイアウト」の設定で横長画面を指定すると対応コンテンツの場合は横向き(見開き)で閲覧できる。
Kindle Scribeの一番の特徴は、専用ペンによる手書き(手描き)に対応している点だ。ペンは「スタンダートペン」と「プレミアムペン」の2種類があり、本体には以下の通り付属する。
Amazon.co.jpではペンの単体購入も可能で、スタンダードペンは4980円、プレミアムペンは5980円(いずれも税込み)で販売されている。
2種類のペンの違いだが、手書き(手描き)の性能に差はない。言い換えると、単純にペン入力するだけなら、両者に変わりはない。
「じゃあ何が違うの?」という所だが、プレミアムペンには「消しゴム(消去)機能」と、ペンとマーカーの切り替えに使える「ショートカットボタン」が付いている。これらの機能を多用する場合、スタンダードペンよりも手数を減らせるので便利である。
ただし、消しゴム機能はシャープペンやボールペンでいう「ノックボタン」に相当する部分に付いているため、使うたびにペンを持ち替えなければならない。直感的だが便利とも言いきれない状況だ。
側面にあるショートカットボタンには、消しゴム機能を割り当てることもできる。ペンとマーカーの切り替えよりも、消しゴム機能を使う頻度が多い場合は、設定を変更すると利便性が大きく向上する。
ペンの価格差は、本体付属(16GBのみ)の場合で4000円、単品購入する場合は5000円となる。この価格差をどう捉えるかは人次第だろうが、手書き(手描き)を多用するなら、間違いなくプレミアムペンを選んだ方が全体的に快適だ。
肝心のペンの使い方だが、大きく2つある。1つは電子書籍への書き込み、もう1つはノートへの書き込みだ。
電子書籍への書き込みについては、書籍の余白に書き込みをする……のではなく、書籍の各ページに付箋(ふせん)を貼り付けて、そこにメモを書き込むというイメージだ。文章に傍線を引くといった使い方はできない。
書籍に付箋メモを付けたい場合は、その箇所をペンでタッチすると付箋が現れ、そこにメモなどを書き込める。付箋にメモを書き込むと、本文には「メモ書きがある」という旨を示すマークが表示される。マークをタップすると、書き込んだメモが現れるという仕組みだ。
残念ながら、このメモはScribe以外のデバイスでは表示できない。ただし、書き込んだメモはPDFファイルとしてメールに添付して送付することはできる。
なお、電子書籍への付箋メモの可否はコンテンツによって異なる。マンガや雑誌ではメモを添付できないものが多く、実用書も一部はメモを添付できない。この制約は主に電子書籍のファイル形式に起因するものだそうだが、Amazonの販売ページを見ると、付箋メモを添付できる書籍にはアイコン表示がある。自分がこれから買う書籍にメモを残したいという場合は、アイコンの有無をしっかりとチェックしたい。
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