ペンを活用できるもう1つの機能が、ノートの作成だ。「会議の議事録」「打ち合わせ時のメモ」「講義ノート」「ToDoリスト」など、いくつかのテンプレートが用意されており、幅広く利用できる。
ノートは書籍とは全く関係なく利用可能だが手書きに特化しているようで、付箋メモとは異なり、ソフトウェアキーボードによる入力はできない。また、他のE Inkタブレットには装備されている手書き文字のテキスト化機能はない。できることはシンプルに「ペンとマーカーの切り替え」「ペンやマーカーの太さの変更」だけである。
できることを絞り込んでいるゆえに、迷わず使えるという点はむしろよい方向に働いていると思う。
作成したノートは、ホーム画面の「最近使ったアイテム」に表示される他、下部にある「ノート」タブから確認できる。付箋メモと同様に、PDFファイルとしてメールで送信することも可能だ。
加えて、ノートで作成したアイテムはスマートフォンの「Kindleアプリ」でも表示できる。あくまでも表示のみで編集は行えないが、Scribeが手元になくてもスマホから簡単に確認できるのは便利である。
さらに、「Send to Kindle」機能を利用すると、Kindle ScribeにPDFファイルなどのドキュメント類を送信できる。この機能自体は、従来のKindleシリーズでも利用可能だが、ScribeならPDFファイルに“手書き”したデータをPDFファイルとしてメールに添付して送付できる。
仕事などで手書きの署名を行う必要が生じた場合などに活用できそうだ。
ここまでKindle Scribeをレビューしてきたが、先行するE Inkタブレットと比べると、手書きに関連する機能はかなり少なめな印象だ。しかし、その分だけ操作は簡単で、難しいことを考えずに直感的に利用できる。
Kindleとしての機能がベースにあるので、他機種でありがちな「あれもこれもできるけれど、どれもが機能的に中途半端」といったこともない。個人的な好みをいえば、Kindle Scribeの6〜7型バージョンが欲しいと思ってしまうのだが……。
一方で、ネックを挙げるとすると価格だろう。従来のKindleシリーズよりも割高であることは否めない。それでも、Kindleを利用しつつ手書きのノートも使いたいという人には、Kindle Scribeは最適な選択肢となりそうだ。
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