映像伝送規格としてのHDMIは、AV(オーディオ/ビジュアル)分野で使うことを想定して誕生した。そのため、当初はTVやSTB(セットトップボックス)、デジタルレコーダーなど、AV機器を中心に使われてきた。
しかし、その汎用(はんよう)性の高さから、現在ではPCを含む幅広い機器で使われている。最近では、ミッションクリティカルな医療製品、防衛産業/宇宙航空産業向け製品でも使われるようになったという。
ただ、PCとその関連製品に絞ると、HDMIと同じく「DVI(Digital Visual Interface)」から派生した映像伝送規格「DisplayPort」が競合として存在する。
DisplayPortも映像と音声のデジタル伝送に対応しており、機能面ではHDMIと同等……なのだが、「より高い解像度/リフレッシュレートの映像伝送」「映像の圧縮伝送」「ディスプレイのデイジーチェン接続」といった機能面ではDisplayPortに“先行”を許してしまっている。
そんな中で登場したのが、最新規格であるHDMI 2.1/2.1aである。両規格は主に以下の機能に対応しており、ディスプレイのデイジーチェーン接続以外は「DisplayPort 2.0」や「DisplayPort 2.1」と実用上遜色のない機能を備えるようになった(一部はオプション実装となる)。
ハイエンドモデルを中心に、HDMI 2.1規格に対応するTVやゲーミングディスプレイも徐々に登場してきている。最新のハイエンド据え置きゲーム機やPC向けグラフィックスカードでもHDMI 2.1規格に対応するものがある。
HDMI 2.1規格に対応するTVであれば、スペック的にはゲーミング用途でも十分に使えるものが多い。逆に、HDMI 2.1規格に対応するディスプレイでは、従来はTVがうたっていた「画質の良さ」「色の深み」などをアピールすることも増えた。トバイアスCEOの言葉を借りれば「モニター(ディスプレイ)とTVの境界線が曖昧になってきている」状況だ。
実際のスペックはさておき、HDMI 2.1対応の「TV」と「ディスプレイ」が普及すれば、ゲーミング用途での垣根はなくなるかもしれない。
なお、2022年12月現在において、HDMI 2.1a規格に対応する機器は市販されていない。トバイアスCEOによると、2023年にはHDMI 2.1a規格に対応する映像デバイスがリリースされる見通しとのことだ。
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