さて、本製品は2基のUSB Type-Cポートを用いたパススルー充電に対応している。ノートPCなどのデバイスと接続した際、通常はデバイスから本製品に対して電力が供給されるが、デバイス側にUSB Type-Cが1ポートしかなく、他にデバイスへの給電手段がない場合、デバイス側のバッテリーがどんどん消費されていくことになる。
そうした場合、本製品のもう1つのUSB Type-Cポートに外部のUSB PD(Power Delivery)充電器から給電を行うことで、通常とは逆方向に、本製品経由でデバイスへの給電が行える。これならば、デバイス側の唯一のUSB Type-Cポートが本製品との接続で使われてしまっていても、給電が行えるというわけだ。
ただし実際に使ってみた限り、実用性はあまり高くない。というのも本製品のパススルー給電は最大25W(20V/1.25A)と、出力が控えめだからだ。一般的にノートPCへの給電は45Wが必要で、30W以下になると給電そのものを受け付ず、充電器として認識はされてもバッテリー消費の方が速く、充電中のアイコンが表示されているのにバッテリーが減っていくことすらある。
今回試用したThinkPad X1 Carbon(2019)も、25Wの充電器につながっていると認識はされるものの、実際にはバッテリーが増える様子はなかった。本製品のパススルー給電はせいぜいスマホか、もしくはタブレットまでだと考えておいた方がよさそうだ。
もう1つ、オプションのスタイラスペン(RICOH Monitor Stylus Pen Type1)についても触れておこう。このペンを使えば、ノートPCと画面をミラーリングさせ、本製品の側から手書きで注釈を書き込むといった操作が行える。
スタイラスペンはWacom AES2.0センサー対応で、最大4096段階の筆圧検知に対応する。画面にペン先を近づけると十文字のカーソルが表示されるので、正確な位置をポイントできる。この十文字のカーソルは筆記中も常時表示される仕組みで、オフにすることはできない。
機能面はざっとチェックした限り一通りのことが行えるが、実際にどのくらい活用できるかは利用目的次第だろう。本製品は10点マルチタッチにも対応しているので、まずはタッチ操作であれこれ試してみて、スタイラスペンがあればより便利という利用シーンが見つかった時点で初めて、導入を検討するという流れになるはずだ。
以上のように、タッチ操作、スタイラス、パススルー充電などさまざまな付加機能を備えた本製品だが、これらは確かにあれば便利である一方、万人に必要な機能というわけではない。製品としては何より軽さ、そして有機ELディスプレイによる画面の美しさが注目ポイントだろう。
本製品は現状、商流がビジネス向けで一般向けの提供は検討中とのことだが、実売価格は6万円台前半と、15.6型のモバイルディスプレイとしては高めだ。とはいえ、保証期間が3年と長いことを考えると、決して割高ではない。その上で、その他の付加機能にどれだけの価値を見いだせるかによって、評価は変わってくるだろう。
本製品には、ワイヤレス接続に対応した上位モデル「RICOH Portable Monitor 150BW」が存在している。こちらは本製品の機能に加えて、WindowsやAndroid、iOSデバイスとのワイヤレス接続に対応しており、画面を分割して2つのデバイスの画面を同時に表示できるなど、プラスαの機能も備えている。こちらについては別記事で改めて紹介したい。
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