日本HPの「HP 970 Programmableワイヤレスキーボード」に感じたスリムキーボードの新たな可能性(2/3 ページ)

» 2023年01月18日 12時00分 公開
[瓜生聖ITmedia]
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キータッチは快適でバックライトもおしゃれだが悩ましい部分も

 HP970に採用されているキーには、短いキーストロークで静かかつ快適なタイピングを実現するソフトリターン技術を取り入れている。約2mmのロープロファイルシザースイッチを採用したメンブレン方式で、しっかりとしたタイプ感と高い静音性を両立させている。

 スペースバーを除いてキーの中央にくぼみがあり、指の食いつきがよく、アイソレーションデザインと相まってミスタイプをしにくい。ボディーとキートップともにシルバーで、ダークグレーの文字部分がバックライトで透けるようになっている。暗いところではお洒落で雰囲気があるが、逆に明るいところでは視認性はあまり高くない。

日本HP HP 970 Programmable ワイヤレス キーボード(日本語配列)薄型 シルバーのボディーから“漏れるバックライト”は非常に美しい半面、明るい場所では逆にキーが判別しにくくなる

 特にファンクションキーに関しては、マイクミュートキーを配置するスペースを確保するためか、4つのキー単位での隙間がなく、少しずつ左に寄っている。ちょうど、ノートPC内蔵キーボードと外付けのフルキーボードの中間くらいの位置になるだろうか。カラーリングの区別もなく、メディアキーのシンボルが中央に配置されている関係でファンクションキーの印字も非常に小さい。タッチタイピングでファンクションキーを打てるようになるまでは、少し戸惑うかもしれない。

 バックライトはキーボードに手を近づけた時、あるいはキーを打った時に点灯し、しばらくしてからジワッと消灯する。別途ユーティリティーの「HP Accessory Center」を導入すれば、回りの明るさに合わせて輝度を自動調整するか、もしくはあらかじめ指定した輝度にするかの選択と、Duration(消灯までの時間)、近接センサの有効/無効を設定することができる。

 暗いところで浮かび上がるキートップは表示に美しいのだが、「\」キーだけはキートップのシンボルが見えづらい。キーの幅を縮めた結果、バックライトの配置に無理が出ているのだろうか。

日本HP HP 970 Programmable ワイヤレス キーボード(日本語配列)薄型 ユーティリティーのHP Accessory Centerを別途導入することで、バックライトの輝度、Duration、バックライトの自動調整、Smart Sensorのオン/オフが指定可能だ。バックライト点灯後、Durationの半分の時間で1段階暗くなるようだ

ユーティリティーの「HP Accessory Center」でカスタマイズ可能

 HP970は名称にProgrammableとある通り、カスタマイズ性も売りの1つだ。カスタマイズは、前述のHP Accessory Centerから行うボタンの割り当て変更が中心となる。

 キー割り当てが変更できるキーボードは高級モデルを中心に増えてきているが、その仕組みは大きく2つに分類される。1つはキーボードからPCに送るキーコードそのものを変更するもので、変更可能なキーはほぼ全て、キーボード本体にマッピング情報を記録するため、接続先が変わっても同じ設定で利用できることがメリットだ。

 その反面、あくまでキーの入れ替えであるため、1つのキーに2つ以上のキーコード、つまりWindowsキー+Shiftキー+Sキーのような同時押しや、文字列を打つようなことは設定できない。

 もう1つは、専用アプリケーションによって接続先側でソフトウェア的に変更するもので、HP970で採用されているのはこちらの仕組みだ。HP970ではボタンの割り当てが変更可能なキーは、マイクミュートボタンを含むファンクション/メディアキーの13キー、6つの機能キー、テンキー上の4キー、電卓キーの合計24キーとなる。

 ディクテーションキーには割り当てができず、Windows 10の日本語環境ではほぼ使えないキーとなってしまっているのは残念だが、メディアコントロールを含むさまざまなコマンド、ランチャー機能の他、複数のキーを順次あるいは同時に押すようなキーストロークも設定できる点は自由度が高く、かなり便利な使い方ができそうだ。

 ただし、ソフトウェア的に実現しているため、ボタンの割り当ては設定を行った機器に対してのみ有効となる。複数のデバイスで同じ設定を利用したり、PC買い換えたりした場合は移行する際に役立つ、設定をエクスポート/インポートする機能や共有する機能は見つからなかった。

日本HP HP 970 Programmable ワイヤレス キーボード(日本語配列)薄型 キーマッピングの変更ではないので、複数キーの順次あるいは同時押しにも対応する。その一方で、設定を行ったPCでしか利用できず、設定のエクスポート/インポートもサポートしていない
日本HP HP 970 Programmable ワイヤレス キーボード(日本語配列)薄型 専用アプリとの併用が前提のボタンの割り当ては設定の柔軟性が高い。Discordに対してのみ、F1にメッセージ内改行に使用するShiftキー+Enterキーを割り当ててみた。可能ならばEnterキーに割り当てたいところではある

 その他、同じネットワーク内でHP Accessory Centerを起動している機器間でクリップボードを共有する機能も提供されているが、こちらはやや期待外れだった。メインPCとサブPCの間でファイルのコピー/ペーストを行うことは可能だが、テキストはHP Accessory Centerのクリップボード上に表示はされるものの、それをペーストすることはできない。表示された文字列を改めて別PCからコピーすることもできないため、どのような用途を想定しているのか疑問が残る仕様となっている。

 ノートPCなど画面の解像度によっては必要なボタンが表示されないこともあり、ソフトウェアの完成度としてはやや辛口の評価となりそうだ。

日本HP HP 970 Programmable ワイヤレス キーボード(日本語配列)薄型 データトラッカーでは各PCでコピーされたテキストやファイルが確認できるが、ウィンドウサイズによっては途中で切れてしまう
日本HP HP 970 Programmable ワイヤレス キーボード(日本語配列)薄型 ウィンドウ幅を広げると見えるようになる。ただし、この「コピー」をクリックしてもコピーができるわけではなく、想定用途にはやや疑問が残る

 なお、HP970の内蔵バッテリーは付属のUSB Type-Cケーブルによる充電池式を採用する。フル充電で公称6カ月以上(平日5日、1日8時間利用の場合)というのはバックライト付キーボードではかなり長い方といえるだろう。

日本HP HP 970 Programmable ワイヤレス キーボード(日本語配列)薄型 内蔵バッテリーの充電は、付属のUSB Type-A→USB Type-Cケーブルを利用する

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