続いて目に見えない部分の変化だが、1つはこれまでよりも10%大きい44mm径のスピーカーを搭載したことが挙げられる。スマートスピーカーを利用するユーザーは、音楽再生機能を多用する傾向があることがさまざまな調査で明らかになっており、音質の向上は多くのユーザーが望んでいたはず。ボディーを大型化させることなく、内部のスピーカーを大きくすることで音質の改善を図ったのは秀逸だ。
さて、実際の音質についてはどうだろうか、結論から言うと、両者を聞き比べれば、音の違いだけでどちらが第5世代モデルなのか当てられるだけの違いはある。従来モデルは出力が足りない中で無理に鳴り響かせようと、高い音が割れたようなサウンドになっていたが、本製品ではそれらが解消され、ベースなどの低音が聞きやすくなっている。音楽再生を多用するユーザーにとってはうれしい改良だろう。
ただし、これは新旧モデルを左右に並べて聞き比べれば分かる話であって、単体で再生した時にピンと来るかと言われると、筆者は少々自信がない。本製品で音楽を聴き慣れていない人、音楽再生以外の用途でしかスピーカーを使わない人には、そこまでのメリットはないだろう。従来の第4世代モデルも決して使い物にならなかったわけではないので、必要かそうでないかは人によって評価が分かれるところだ。
なお、本製品を2つ組み合わせてステレオスピーカーとして利用するペア機能も、従来と同様に搭載されている。第5世代モデル同士はもちろんのこと、第4世代モデルとのペアリングも可能だ。
ただし第4世代とペアにした状態では、世代が違うせいか音量のバランスが取れておらず(第4世代モデルの方が音量が大きくなる)、これを調整しようにも左右の音量が連動してしまうため、あまり実用的ではない。第4世代とのペア化ができるできないでいえば「できる」だが、ペア化はなるべく同じ世代で行った方がよさそうだ。
例によってペア化で利用できるのはストリーミング再生だけで、Bluetooth接続でのペア化は行えない点は従来と変わっていない。こうした点については、あまり目新しさがないのも事実だ。
タップによる操作が可能になったのも1つの目玉だ。本体の上面をタップすると、音楽再生の一時停止および再開できる機能(タップジェスチャー)が追加された。物理的なボタンがあるわけではなく、上面を軽く叩くとそれがタップとして認識されるという機能である。Googleのスマートスピーカー「Gooele Nest mini」に似た機能だ。
もっとも、試した限りでは確実性は高くない。どのあたりをタップすればよいのか、どの程度の力加減でタップすればよいのか、いまひとつはっきりしない。これは確実だろうと思ったタップに無反応だったり、かすった程度でワンテンポ遅れて反応したりすることもあるので困ってしまう。タップでの操作をあきらめて本体を移動させようとつかんだ瞬間に反応するなど、今回の試用中はコツがつかめないままだった。
余談だが、こうした一時停止/再開機能は、特に停止操作については確実に行えないと意味がない。来客や電話、あるいは人に呼ばれたりといったシチュエーションにおいて、今すぐ音をミュートしなくてはいけないケースが大半だと考えられるからだ。目覚ましを止める場合もしかりである。逆に再開は、繰り返しトライしているうちに成功する程度で何ら問題ない。
その点で本製品は、確実に止められる保証がなく、実用性にやや疑問符がつく。筆者はここまで1週間程度しか試用していないので、もしかすると百発百中のコツが今後見つかるかもしれないが、現状では「アレクサ、ストップ」と口頭で伝えた方が確実だ。
ただし、これはGoogle Nest miniの同等機能も似たようなものなので、本製品に限った問題ではない。現時点では、おまけ機能程度くらいに考えておいた方がよいだろう。なお前述のペア機能を使っていると、反応がさらにワンテンポ遅くなる傾向があるようなので気をつけたい。
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