この曲名表示の挙動をもう少し詳しく見ていこう。
アーティスト名と曲名の表示は、ストリーミングサービスでその楽曲の再生が始まったタイミングで行われる。本製品のLEDディスプレイに表示できるのは3〜5文字程度でしかないので、マーキー、つまり左方向へのスクロールで表示される。曲名の最後まで到達すると一瞬だけ静止し、その後にフッと消えて通常の時計表示に戻るという挙動だ。
最大の問題点は、何と言ってもドットマトリクスのフォントの粗さだ。何せ1文字の表示に使えるドットが縦5ピクセル、横は4〜6ピクセル(濁点などはプラス3ピクセル)しかないため、アルファベットにしてもカタカナにしても、単体では読み取れないこともしばしばある。現実的には、前後の文字とあわせて読み取る作業が必要になる。
ただでさえこうした状態にありながら、横方向の表示エリアもかなり狭いのも困りものだ。横方向のドット数は21ピクセルと、1度に表示できる文字数はわずか3〜5文字程度でしかなく、洋楽のアーティスト名や曲名を表示するにはかなり厳しい。30ピクセルくらいまで広がればかなり視認性も変わってくるし、球形ボディーの正面の範囲内に納めるという条件もギリギリ維持できるはずなので、次期モデルに期待したい。
また、このアーティスト名と曲名の表示は1度スクロールしただけで終わってしまい、アーティスト名の先頭部分の見逃しが発生しやすい。再生中は時計表示に戻ることなく、アーティスト名と曲名がループ表示されるオプションが用意されていると、より便利かもしれない。
このドットマトリクスLEDディスプレイのもう1つの機能として、音楽再生の一時停止/再開といったステータスや音量の段階を表示できることが挙げられる。
本製品は前回のEcho Dotのレビューでも紹介したように、本体上部をタップすると音楽再生を一時停止/再開できる機能を備える。本製品はこれと連動し、一時停止中は本体正面に一時停止中を意味する縦2本線が表示される他、再開すると再生マークとともにアーティスト名と曲名表示がスクロールする。1度のタップで確実に反応するとは限らないだけに、これらのステータスが目視で表示できるのはなかなか気が利いている。
音量調整については、音量の上下ボタンを押すたびに、音量が「1」「2」「3」といった具合に変化する様子が、数字で表示される。音量はEcho Dot底面の青いリングが点灯する割合でも確認できるが、分かりやすさは数字による表示の方が明らかに上だ。何より、実際に音楽を再生することなく、音量を数字で確認できるのがありがたい。
ちなみにこれらの機能は、2つの本製品をペアリングした状態でも動作する。片方がLEDディスプレイ非搭載のEcho Dotだった場合は、本製品でのみ情報が表示されるので、自然とステータスが分かりやすい本製品でばかり操作を行うようになる。そのくらい便利な機能だ。
また、LEDディスプレイを備えた従来の第4世代モデルとのペアリングも可能だ。音量表示機能は第4世代モデルも対応するので、音量調整を行うと両方でそれぞれボリュームの数字が表示される。アーティスト名と曲名表示は本製品しか対応しないため、第4世代モデルはその間、時計を表示し続ける状態となる。
一方、本製品でアーティスト名と曲名を表示している時に音量調整を行った場合、第5世代モデルでは曲名表示が優先され、ボリュームの数字は第4世代モデルでのみ表示される。第4世代モデルは曲名表示に対応しないので当然なのだが、このあたりの挙動はさまざまな組み合わせを見越して、操作パターンを作り込んでいることが分かる。
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