「Radeon」の開発方針は? なぜ「超ハイエンドGPU」で勝負をしない? 「競合」との関係は? AMDのキーマンに聞く(3/5 ページ)

» 2023年03月10日 12時00分 公開
[西川善司ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

CPUでもGPUでも「チップレット」 しかし“使い方”が異なる

 Radeon RX 6900XT/6900 XTXで使われているRDNA 3アーキテクチャに基づくGPUチップ「NAVI31」では、GPUチップとしては初めて「チップレット」と呼ばれるアーキテクチャを採用した。

 チップレットは構成回路を幾つかのダイに分割し、必要な機能のダイを組み合わせて1枚のチップを構成する考え方で、AMDはZen 2アーキテクチャ以降のCPU(Ryzen 3000シリーズ/Ryzen 4000Gシリーズなど)から採用した。Zen 2以降のCPUでは、最大8コアを備える「CPUダイ(CCX:Core Complex)」と、CPUダイ同士の連結も担う「I/O(入出力)ダイ」を用意し、必要な性能に応じて連結するCPUダイの数を変更するという手法で多コアCPUを低コストで製造することに成功した。

 例えば通常のデスクトップ/ノートPC向けRyzenは最大2基(=16コア)、超ハイエンドのRyzen Threadripperシリーズなら最大8基(=64コア)、EPYCシリーズなら最大12基(=96コア)……といった感じである。

Ryzen Threadripper Zen 2以降のCPUアーキテクチャでは、中央にI/Oダイを配し、スペックに応じて必要な数のCPUダイ(CCX:Core Complex/CPUコアとL3キャッシュのパッケージ)を連結するという方法で多コアCPUを低コストで製造できるようになっている

 RDNA 3アーキテクチャの場合は、中心に大きめの「GPUコア(GCD:Grapics Core Die)」を配し、その周辺部に「メモリ&キャッシュコントローラー(MCD)」を置いている。

 「RDNA 3アーキテクチャでチップレットが採用される」と判明した際、大方の予想では「Zen 2以降と同じように、GPUコアを必要に応じて増減できる設計では?」とされていた。しかし、少なくともNavi31が登場した段階においてGPUコアを増減できる設計を取る可能性は否定されている

 より高性能なGPUとするために、GPUコアをチップレットで増減できるようにする――有効な手だてだと思えるのだが、なぜそれを見送ったのか。ワン氏に尋ねると、こう返ってきた。

ワン氏 チップレットアーキテクチャは、製造コストを削減しつつ高性能なプロセッサを実現させるために用いることで“真価”を発揮できます。

 ご存じの通り、現在のハイエンドGPUコアには1万基以上の演算コア(浮動小数点演算器)が内包されています。これはCPUコアの1000倍以上の数です。この状態でGPUダイ同士をインターコネクト接続(連結)しようとすると、それだけで接続点が膨大になって、確実な電気信号の伝達を担保できません。なので、現時点ではCPUダイと同じノリでGPUダイを連結することは工数はもちろんコスト的にも困難です。やってできないことはないでしょうが……。

 そうするくらいなら、現時点では大規模なGPU(コア)を作ってしまった方が効率が良く、コストも抑えられます。ゆえに、現世代(RDNA 3アーキテクチャ)では、「マルチGPUダイ」の実現は見送ることにしました。

 バーグマン氏はこう付け足す。

バーグマン氏 半導体ビジネスでは、常に「性能」と「製造コスト」のトレードオフを見極めなければなりません。この分野(マルチGPUダイ)への挑戦については、まだまだ続くし、将来に期待していただければと思います。

RX 7000シリーズ Radeon RX 7000シリーズでは、GPUコアをスケーラブルにするのではなく、メモリとキャッシュをスケーラブルにする設計を取った

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月09日 更新
  1. 超小型レトロオーディオ体験をFIIO「Snowsky ECHO NANO」で スマホリスニングのモヤモヤを解消するかも? (2026年09月08日)
  2. 「RTX Spark」搭載のWindows PCは10月に登場 LAN内のPCを束ねてローカルAI処理を分散・高速化する「NVIDIA PAIR」β版も公開 (2026年09月07日)
  3. 10月に登場する「RTX Spark」搭載PCで見た“不可解な”設定値 次期Windowsで変わるGPUメモリの仕組み (2026年09月07日)
  4. 両手が塞がっていても瞬間解錠できるスマートキー「SwitchBot スマートロック Ultra 顔認証パッド」がセールで20%オフの2万7980円に (2026年09月08日)
  5. 再来する“グラボ複数挿し”需要! 220mm径の巨大ファン搭載ケースやFractal新モデルがアキバで話題に (2026年09月07日)
  6. 省スペースで静音性に優れた3Dプリンタ「Bambu Lab A1 mini」がセールで25%オフの2万9900円に (2026年09月08日)
  7. 実売1万円台&縦置き対応! ONPUの14型モバイルディスプレイは初心者の強い味方だった (2026年09月08日)
  8. バッテリーを外せば約639g! 最新CPU「Intel Arc G3 Extreme」搭載の8型ゲーミングPC「OneXFly APEX Air」に触ってきた (2026年09月07日)
  9. HUION、アス比3:2の90Hz駆動ディスプレイを搭載したペン入力対応12.2型Androidタブレット (2026年09月08日)
  10. ラトックシステム、デュアル4Kディスプレイにも対応したHDMI切替器 (2026年09月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー